驕り、傲慢、自己欺瞞という厄介な憑きもの
自分のOSをアップデートする
自分はアップデートを怠ってきたのだろうか? コーチとしても、ビジネスパーソンとしても、成長を意識し、常に努力をしてきたつもりです。しかし、私がしてきたことはアプリケーションレベルでのアップデートだったのだと思います。ロバート・キーガンの成人発達理論を借りて言えば、知識やスキルの成長である、水平的成長を志向してきたということかもしれません。 そして、その成長に向けて努力を積み重ねてきたことへの信頼が、いつのまにか姿を変え、慢心・驕り・傲慢・自己欺瞞等のさまざまな憑きものへと変幻していきました。「憑きもの」が怖いのは、自分にはその姿が見えないことです。知らないうちに取り込まれ、自分では憑きものが憑いていることに気づけない。憑きものにがんじがらめになりながら、前進しようともがき、苦しさだけが増していく。 上司と話す前の自分を振り返ると、そんな自分の姿が見えるようです。 上司は、私の憑きものを剝がそうと思ったわけではないでしょう。ただ、私が自分で自分のことを話すよう促してくれただけです。しかし、そうすることで、憑きものが少しずつ剥がれていき、終わった後は清々しい気持ちになっていました。 その時間を経て、いま私は、アプリケーションではなくOSのアップデート、自己欺瞞の中にいる自分ではなく、等身大の自分として、新たに成長に向けて動き出したいと思っています。 OSのアップデートは、等身大の自分を受け入れることからしかスタートできないのかもしれません。 あなたの自己認識が、最後にアップデートされたのはいつですか? 一人でのアップデートには限界があるように思います。「あなた」について、あなたを案じてくれる人と一緒に話してみませんか?
【著者】 栗井智希 株式会社コーチ・エィ 上智大学法学部国際関係法学科卒業。コンサルティングファームにて、構想策定・BPR・ITシステム導入などのプロジェクトに幅広く従事。大小さまざまな組織の立ち上げに関わり、業績を上げやすい組織風土は、トップ主導の元、組織の構成員が一体となって創りあげていることを痛感。企業の業績向上の一端を担いたいと考え、コーチ・エィへ入社。コーチとして大企業の経営層・幹部層を中心に150名を超えるクライアントと共に活動。同時に、日本を代表する企業グループ数社におけるプロジェクト責任者を担当している。コミュニケーションが秘めている可能性をひらいていくことを目指し、コーチングの実践と学習の両輪をおもしろがりながら、日夜積み重ねている。
栗井智希(コーチ・エィ)