S&P500は底値から9%回復、米国の景気後退懸念が身を潜める
米国時間8月15日、米国経済が懸念されていたよりも健全であることを示す最新データのおかげで、株式市場の上昇が続いている。8月上旬に世界中の主要株式指数が経験した大幅な下落をほぼ取り返す勢いだ。 大型株の採用が多いダウ平均株価は15日終値で約555ドル(1.4%)上昇し、S&P500種株価指数は同1.6%、ハイテク株中心のナスダック総合指数は同2.3%上昇した。 15日の取引開始前に発表された7月の米国小売売上高が予想を大幅に上回ったこと、1週間の新規失業保険申請件数が予想されていたよりも良い結果だったこと、米国最大の上場企業であるウォルマートの業績が好調であったことなど、いくつかの好材料があったためだ。 小売売上高が市場予想を大幅に上回る結果となったことについて、インディペンデント・アドバイザー・アライアンスのクリス・ザッカレリ最高投資責任者は、「今月初めに表明されたような悲観的な見方は一掃されるでしょう」とメール取材にコメントした。 米国の3つの主要株価指数はともに、数週間前に大幅な下落に見舞われたが、当時の安値から見ると、S&P500は8月5日につけた安値から9%上昇、ナスダックは8月の底値から11%上昇、ダウは同5%(2000ドル)以上上昇した。 15日に大きく上昇した個別の銘柄には、ウォルマート(7%上昇)、アルタ・ビューティ(11%)、シスコ(7%)、アマゾン(4%)などがある。 米国の株価は先月につけた史上最高値を回復するまでには至っていない。史上最高値と比較すると、ダウとS&P500は約2%低く、ナスダックは約6%低い水準だ。それでも、ナスダックが15%近く値を落とした数週間前の暴落よりははるかにましな状況だろう。この急落は、投資家が景気後退の可能性を懸念する中で起こったもので、8月2日に発表された米国の失業率は2021年以来の高水準となり、この懸念はピークに達した。 しかし、今週初めに明らかとなったインフレ率の改善、そして先週発表された失業保険申請件数が株価の強い反発を引き起こし、より最近では先述した小売売上高などの経済データが米国経済の底堅さを意識させた。年初来からの上昇率では、主要株価指数はいまだに歴史的な上昇率を維持している。年初来のS&P500の上昇率は約15%に達するが、これは過去平均の約10%を大きく上回る。 経済への信頼回復と株式市場の反発は、連邦準備制度理事会(FRB)が金利引き下げに積極的でなくなることを意味する可能性が高い。CMEのFedWatchツールによると、FRBが9月の会合で50ベーシスポイントの利下げを実施する確率は26%となっており、先週月曜日に記録した85%から低下している。また、年内の利下げ幅のシナリオとして一番確率が高いとされているのは75ベーシスポイントの利下げで、これは先週月曜日の時点では125ベーシスポイントとされていた。
Derek Saul