SAPIXが考える子どもの「算数スランプ」克服法 「算数」と「受験算数」の違いを理解 “猛特訓”は逆効果
中学受験の場合は、小学6年生の1月と2月に集中しています。その時期までに、必要なことを学習しておかなければいけません。 これは、高校受験でも大学受験でも同様ですね。最高のパフォーマンスを発揮するタイムリミットが決まっています。 このように、時間内に答えを書かなければいけないというプレッシャーから、算数に対して「できない」という思いが強くなっているケースがあります。 しかし、本来、処理能力の速度と理解力は別物のはずです。
制限時間内に解くことは苦手だけれど、じっくり時間をかければ解くことができる子もいます。 一方で、時間的制約があるからこそ集中して打ち込める人もいるでしょう。時間的制約があることで得られるメリットもありながら、当然としてデメリットもある。 じっくりタイプの子は、決して算数が苦手なわけではないんです。 【Check!】 ●受験算数:試験時間内に解くことと受験時期までに学習するという時間的制約がある ●算数:トライアンドエラーしながらじっくり時間をかけて解いてもいい
■算数はメンタルが大事な教科 「算数が苦手」というと、猛特訓をしたり難しい問題をどんどん与えてなんとか追いつかせようとしたりする保護者がいます。子どもの状況に対して、保護者のほうがあせってしまっているのです。 しかし残念ながら、そうした取り組みをした結果、マイナスの影響がでることが多くあります。 それは算数が「メンタルの教科」だからです。 算数は、複雑な条件を整理したり、どのアプローチで解いていくと効果的かを考えたりすることが求められる教科です。
ほかに気がかりなことがあると、その事柄に気持ちが持っていかれて、解き進めることが難しくなってしまいます。 また、苦手だからといって猛特訓をすることで問題を見るのも嫌になってしまったり、難しい問題がまったく解けずに自信を失ってしまったりすると、「解けない」「わからない」という思いが増大していきます。 そして、問題に向かう前から身構えてしまい、本来理解できていることも解けなくなってしまうケースすらあるのです。