韓国拉致被害者家族、横田めぐみさんの写真も入れた宣伝ビラ10万枚、平壌への散布強行へ
非武装地帯近隣の住民は北朝鮮を刺激するだけと猛反発
北朝鮮が韓国との南北連結道路を爆破し、連日のように韓国側へゴミなどを入れた風船を飛ばすなか、韓国では北朝鮮拉致被害者の団体が、北朝鮮の体制批判の宣伝ビラを小型ドローンで配布することを発表し記者会見を開いた。これに対して、北朝鮮との非武装地帯に接する坡州(パジュ)地域の市民団体などが断固阻止すると声明を出しており、自治体も巻き込んで対立が高まっている。韓国メディアYTN、ハンギョレ、OBS、江原道日報などが報じた。 【動画】横田めぐみさんの写真も入ったビラ <朝鮮戦争後に拉致された人たち516人が今も北に......> 韓国から北朝鮮に向けて金正恩体制を批判するビラを送る活動は脱北者団体が盛んに行っているが、今回ビラ散布を計画しているのは韓国内の拉致被害者家族の団体だ。韓国では朝鮮戦争当時に拉致された戦時拉致被害者が10万人以上、1953年の休戦協定締結後に拉致された「戦後拉致」で3800人が連れ去られたとされ、戦後拉致された人たちの516人が今もなお帰国できないままだという。 拉致被害者家族の団体は24日午後、水原(スウォン)市の京畿道(キョンギド)庁前で記者会見を開き、来週北朝鮮向け宣伝ビラを公開散布すると明らかにした。崔成龍(チェ·ソンリョン)代表は、「拉致被害者問題を知らせる機会はもうないと考えて、北朝鮮向けビラ10万枚を坡州市から飛ばす。(散布が)2回であれ3回であれ、いかなる方法を使ってでも平壌市内に落ちるようにする」と明らかにした。 <散布するビラには日本人の横田めぐみさんの写真も> また「必ずしも風船でなくてもビラを送る方法は多い。北朝鮮が離散家族などの問題について対話し、韓国へゴミ風船を送る行為などを中断せよという趣旨だ」と話した。 散布予定のビラには拉致被害者の写真と説明文が書かれており、チェ代表の父親などの韓国人拉致被害者6名に加えて、日本人の拉致被害者、横田めぐみさんも掲載された。 チェ代表は「色々な状況などを考慮して来週中には公開散布をする。ビラには1ドル紙幣だけを入れる予定であり、USBなど他の物は入れない予定だ」と話した。 また、北朝鮮へのビラ散布が南北関係にかえって緊張感を与えるという指摘に対しては、「北朝鮮に拉致被害者や離散家族の再会などの対話を要求し、韓国に向けての宣伝放送やごみ風船散布を止めるよう要求するのが先だ」とし、「私たちにだけしきりに中断しろと言うのは本末転倒だ」と反論した。 そして、宣伝ビラ配布について「具体的な公開散布時間と場所はまもなく公示する」と話した。