ラストマッチは歴代最多の247勝目…札幌を愛し、札幌に愛されたペトロヴィッチ監督
[12.8 J1第38節 札幌 1-0 柏 プレド] 前節にJ2への降格が決まってしまった北海道コンサドーレ札幌だが、ホームでの最終節にはどうしても勝たなければならない理由があった。7シーズンにわたって指揮をとったペトロヴィッチ監督のラストマッチ。相手はこの試合にJ1残留がかかった柏レイソルだったが、開始5分に鮮やかに先制する。 【動画】アウェー中国戦の裏で起きていた珍事…日本代表FWがSNS上の声に反応「わざと」 ボランチのMF駒井善成が中盤から前線に縦パスを入れると、シャドーのMF浅野雄也がダイレクトでFW鈴木武蔵に落とす。前を向いてボールを受けた鈴木は、柏のCBの間に走り込んだMF近藤友喜にスルーパスを送る。GKと1対1になった近藤は、GKをかわしてゴールに流し入れた。「いろいろ選択肢はあったと思うんですけど、最後まで(GKを)見てずらせた。いい判断ができた」と近藤。札幌らしいゴールが、結局この日の唯一の得点に。J1歴代最多を更新する247勝目で、札幌での最後の一戦を締め括った。 ペトロヴィッチ監督が札幌を率いた7シーズン、日本代表にも選手を送り込んできた。その一人が、MF菅大輝だ。在任中の7年間レギュラーとして起用されていた菅は、奇しくも同じタイミングでチームを離れることになってしまったが、指揮官への感謝の思いがあふれた。 「ミシャさんが1年目の頃から、本当に事細かく指導していただいて。 いや、本当にここまで。今日の試合でJ1で250試合達成できたのは、やっぱりミシャさんのおかげでもありますし、あとは日本代表だったり、 年代別の代表とかも経験できたのは、本当にミシャさんの力では力であるので、感謝しきれないぐらいの思いはあります」 試合後のセレモニーでサポーターから盛大に送り出されたペトロヴィッチ監督は、監督会見に臨んだ。札幌の監督としては、翌9日に別途会見が開かれることになっているが、「ここにいるみなさんがそこ(9日の会見)にいらっしゃるかどうかわからないので、改めて挨拶したい」と、最後にペトロヴィッチ監督は自ら思いを語りはじめた。 「7シーズン、監督をさせていただいて、本当に皆さんに感謝しかない。メディアのみなさんは、結果がうまく出ないときは、いろいろご指摘したいところもあったんじゃないかと思いますし、批判的なことも書きたいときもあったんじゃないかと思う。ただ、 私の31年の監督のキャリアの中で、これほど地元のメディアの方が、チーム、クラブを応援している、そういうマインドを持って仕事をされているのは、私自身は経験したことがない」 「チームを作る、チームをJ1に安定させて戦っていく。そういった仕事の中で、みなさんのポジティブな、前向きな報道がなければ、私自身は7年間の仕事をできなかったと思う。ネガティブな結果の中でも必ずポジティブなものを見つけて、それにスポットを当ててチームを後押ししている。そのことは、我々にとって非常に大きな大きなサポートになった。共に仕事ができたことは私自身幸せだったと思いますし、私にとっての誇りだと思っています」 スタジアムから出る際に、報道陣がいるミックスゾーンを通ったペトロヴィッチ監督は、「また明日」と手をふって笑顔を見せると、温かい拍手に包まれた。