小池知事の「豊洲・築地両立」方針 市場関係者から「2つの市場」に異論も
卸・仲卸・買参人が一体で「市場」
小池知事の会見後、築地市場の豊洲への移転を支持してきた都水産物卸売業者協会の伊藤裕康会長は築地市場で記者会見を開き、「今日の知事の発言は、比較的バランスのとれた話だった」として、豊洲移転の決断を評価した。 一方、築地再整備案については「2つの市場は成り立たない。卸、仲卸、買参人らが一堂に会して、商品を評価し、販売するという市場本来の機能が、2か所同時並行で行えるとは到底思えない」と批判。豊洲市場を総合物流拠点とする方針も「冷蔵庫の需要があるといっても、豊洲市場のどこに(新設する)余地があるのか」などと疑問を投げかけた。 同席した築地東京青果物商業協同組合の泉未紀夫理事長も、豊洲移転の決断は歓迎したが、「風評被害についての具体的な施策、小池知事からの安全宣言はなかった」として、都として風評被害対策に力を入れるよう注文した。 築地市場の移転に慎重な姿勢を示してきた東京魚市場卸協同組合の早山(はやま)豊理事長は、伊藤・泉両氏とは別の場所で会見。「都知事の会見については、まったく事前の連絡がなかった」と戸惑いを口にして、「まだ十分にこの問題を検討しきれていない。今後、組合で検証、検討し、理事会や総代会にはかっていきたい」と述べるにとどまった。 ただ基本線としては「あくまでも中央卸売市場の中での仲卸であることが大前提。豊洲に移っても中央卸売市場として移り、5年後に(築地に)帰るとしても中央卸売市場として帰る」として、中央卸売市場としての一体性が重要だと強調した。 (取材・文:具志堅浩二)