「長年紛争下のシリアには物資が行き届かない」現地で活動する国連UNHCR職員が訴える、トルコ・シリア大地震の過酷な現状
地震は私たちにとっても身近な問題。日本だからこそできることがある
――シリアやトルコの皆さんのために、私たちにどんなことができると思いますか。 守屋由紀: とにかくこういうことが起きているということを知ってもらわないと、理解が深まらないし、支援も集まらないと思っています。特に、シリアの紛争は忘れられかけていたところがあったので、今改めてそれだけ長い間紛争に直面している国があることを思い出していただくきっかけにはなったのではないかと思います。 日本にいると、シリアで起きていることは内戦だし、自分たちに関係ないって思われるかもしれませんが、地震は日本人にとっても身近な問題。地震に直面して今すごく苦労している人たちがいるということに思いをはせてほしいです。そして、皆さんが思ったことをSNSなどで発信して拡散してほしい。それだけでも大きな助けになります。小学生や中学生の皆さんからも支援の声をいただくことがありますが、そうした子どもたちが問題意識を持ってくれるだけでもありがたいです。 欧米各国はシリアに対してなかなか支援を届けづらいところもあるかもしれませんが、地震の経験がたくさんある日本だからこそできることってきっとあるのではないかと思います。同じ経験をしてきている私たちだから、現地の皆さんとつながることができるはずです。 ----- 守屋由紀 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所広報官。UNHCRは、第二次世界大戦後の1950年、避難を余儀なくされたり、家を失った何百万人ものヨーロッパ人を救うために設立。半世紀以上経った現在も世界中の難民の保護や支援に取り組んでいる。その活動が評価され、1954年と1981年、ノーベル平和賞を受賞。 文:大井あゆみ (この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ・Session」とYahoo!JAPANが共同で制作しました)