クオンツファンドAQR、転換社債アービトラージ復活に機会見いだす
(ブルームバーグ): クオンツファンドのAQRキャピタル・マネジメントは、株式への転換が可能な債券に絡むニッチな戦略の復活は続くとみている。金融危機の際に破綻したこの戦略は大きく復活を遂げている。
転換社債とその原資産である株式との間の価格差を利用しようとする転換社債アービトラージ(裁定)取引の最近の復活は、高金利の長期化で新規発行が相次ぐ中、加速する見込みだという。この取引は、合併アービトラージを抜いて、19億ドル(約3000億円)規模のAQRダイバーシファイド・アービトラージ・ファンドでエクスポージャー最大の戦略となっている。
転換社債は当初は金利の低い債券だが、株価が十分に上昇すれば株式に転換することができる。典型的な裁定取引の手法は、債券のロングポジションと株式のショートポジションを取る。株価が下落すればショートポジションから利益を得られ、株価が一定水準以上に上昇すれば満期時に債券を株式に転換できる。
ヘッジファンドはここ数カ月、この戦略に資金を投じている。一般的に借り手のコストが通常の債券よりも低い転換社債への企業の関心が高まっている。AQRによれば、こうした発行体の裾野の広がりに加え、満期の壁が迫っていることや企業のイベントが相次いでいることは、この取引から利益を得る新しい方法を提示している。
ヘッジファンドが転換社債裁定取引に復帰-発行増が後押し
記録的な転換社債ブーム、アジアを席巻-ヘッジファンド殺到
AQRアービトラージの転換社債戦略担当マネジングディレクター、ジョシュ・ラバン氏は「機会の拡大が、当社がエクスポージャーを増やしている理由だ」と説明。「5月だけで200億ドル近い転換社債が発行され、6月も素晴らしいスタートを切った」と語った。
新たな借り手の登場に加え、新型コロナウイルス禍中に低利回りで発行された転換社債が満期を迎えようとしている。そのため、企業が市場価格より割高な価格で既存の債券を買い戻したり、新規発行で保有者に有利な条件を提示したりすることが多い。