イギリスは本を読む子が多い? ブルーナの絵本翻訳者に聞いた「海外の読書事情」
石井桃子さん、松岡享子さんに続き、ディック・ブルーナさんの絵本翻訳を担当された中野百合子さん。 実は現在、イギリスの図書館に勤務をされています。 【1コママンガ】「フルーツの赤ちゃん」になりきる3歳児 日本、そしてイギリスにて子どもの本にかかわるお仕事をされてきた中野さんに、ご自身が好きな児童書、イギリスの子ども達の読書事情など、幅広くお話をうかがいました。
好きな本をじっくり読むのが好き
――幼少の頃から本を読むことがお好きでしたか? 母も本が好きだったので、幸せなことに、家には沢山の本がありました。また家の近くの公園にくる移動図書館に連れて行ってもらって本を借りたり、本がいつも身近にある中で育ち、自然に本が好きになりました。 中学生の頃などあまり読まなかった時期もあったと思いますが、高校生になってからはまた、家にあった日本文学全集や海外の古典文学などを読むようになり、読書の幅が広がりました。 とはいえ、乱読するタイプではなく、自分が好きな本をじっくり読むのが好きです。 ――ご自身の人生の中で特に印象深い児童書がありましたら教えて下さい。 小さい頃、姉と一緒に楽しんだ「とこちゃんはどこ」(松岡 享子作/加古里子絵 福音館書店)、「せんたくかあちゃん」(さとう わきこ作・絵 福音館書店)などは何回読んでも面白くて、ワクワクした気持ちを今でも覚えています。
大人になってから何度も読み返している大好きな児童書は『やぎと少年』(I.B.シンガー作/工藤幸雄訳/モーリス・センダック絵 岩波書店)です。毎年冬がくると読み返し、読む度にいい話だなあと思います。 また、『たのしい川べ』(ケネス・グレーアム著/石井桃子訳/E.H.シェパード絵 岩波書店)も好きです。イギリスに来たばかりの頃、オックスフォードの近くでテムズ川沿いを散歩していた時、目の前に広がる景色を見てふと、ここはネズミとモグラがボートに乗っていた場所に違いないと確信しました。そうしたら、少し行ったところに本当に、著者のケネス・グレーアムが住んでいたという家を見つけてびっくりしたということがありました。