新しいボルボXC60は変わらないところに価値がある EV戦略を見直した北欧ブランドのあるべき姿とは
見た目の良さと機能性を両立
ボルボはインフォテインメントシステムに「グーグルアシスタント」をいち早く導入しており、音声入力が出来る。XC60 Recharge Ultimate T6 AWD plug-In hybridも同様で、「物語を聞かせてほしい」などというChatGPTに向けたようなコマンドは受け付けないが、かける音楽のセレクションなど、けっこう広い範囲で対応する。これでうまくアップデートされているのだ。 インテリアは、グッドデザイン。縦型モニターを中央にすえたダッシュボードの造型は、この2代目XC60の大きな魅力であり続けてきた。運転席まわりの使い勝手はいいし、色使いもうまい。ただし、XC40も同様のデザインであり、長いあいだ経っていることもあり、やや見飽きた感があるものの、初めてXC60に乗る人なら、嬉しいはずだ。 前席シートは、ナッパレザー張りでかつクッションも硬め。といっても、座り心地が悪いわけではない。立体的な造型で、うまく身体を支えてくれる。見た目の良さと機能性を両立させたデザインだ。 後席は足もと広く、頭上の空間にもたっぷり余裕がある。リヤクオーターウインドウをもつのは、個人的な好みがわかれるところだけれど室内の採光というメリットになっている。 一部のドイツ車のように、デザイン変更のインターバルが極端に短く、結果、どれが最新型だかわからなくなってしまう……なんてこともボルボではない。「変えなさすぎ」という声もあるけれど、“自分たちが納得いくプロダクトならば作り続ければよい”とする姿勢は、これからXC60を買おうという人にとっても、評価したい点だろう。 私は評価する。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)