公共図書館の運営基準を見直しへ…学校図書館との連携強化へ、地域の書店と共存
文部科学省は、公共図書館の運営基準を見直す方針を固めた。近く有識者会議で議論を始め、2026年度にも新たな基準を適用する。学校図書館との連携を強化するほか、地域の書店と共存する仕組みを検討し、文字・活字文化の振興につなげる狙いだ。 【まとめ】有識者会議のポイント
図書館法に基づく運営基準は12年に全面改正された。本や新聞などの資料収集、貸し出しといったサービスや職員配置などを「望ましい基準」として定めている。
文科省によると、公共図書館は21年度に3394館。年々増えているが、1館当たりの予算は伸びていない。非常勤など不安定な雇用形態で働く司書の割合は21年度に約7割を占め、読書の推進活動に影響するとの指摘がある。
また読書を巡っては、1か月に1冊も本を読まない「不読率」の改善も課題となってきた。政府は子どもの読書推進に力を入れるが、23年度は小学生7・0%、中学生13・1%で、政府目標の2%以下、8%以下とは隔たりがある。
このため有識者会議では、公共図書館と学校図書館が直面する課題を一体的に議論し、読書環境の充実に図書館が果たす役割や必要な体制を検討する。公共図書館と学校図書館の交流を活発化させ、子どもの読書機会を増やす方策を提示する。
19年の「読書バリアフリー法」施行を踏まえ、障害のある人や高齢者が利用しやすい図書館のあり方も示す。
図書館と書店の連携も検討課題とする。23年度の全国の書店数は1万918店で、20年でほぼ半減した。書店が一つもない「無書店自治体」は全市区町村の4分の1に上る。図書館が地域の書店から本を優先的に仕入れる仕組みなども探る。