相川七瀬「学び直しで親子関係が改善。歌一色だった20代より、今が一番忙しい。卒論を書き終え、4月からは大学院に」
◆学び始めたら親子関係が改善した理由 その経験もあり、最近になって子どもの反抗期は親も自立の時期なんだなって思います。私の場合は少しずつ子どもが自分の手を離れていくタイミングで、今度は自分のやり残したことに時間を使ってみたいと思った。思い通りにはいかないかもしれないけど、子どもがいくつくらいになったらこうなっていたいな……という5年先くらいを見通した計画を立てました。 驚いたことに私が学び始めたら親子関係が改善したんですよ。たとえば長男に「ここ教えて」とお願いすると親身になって説明してくれて。私が変わったのだと思います。それまでは「勉強しなさい!」「塾に通ってるのに、なんで成績上がらないの」とか親目線で言っていたのですが、「勉強って大変だよね」「どれだけ勉強してもダメな時はダメだよね」って、子どもと同じ目線で物事をとらえるようになったので連帯感が生まれたのかなと思います。 嬉しい出来事は他にもありました。我が家では4人で机を並べて勉強するようになったのですが、ある日、子どもたちが「勉強って卒業したら終わりだと思ってたけど、大人になってもずっと勉強なんだね」と会話を交わしていたんです。それを聞いた私は思わず心の中でガッツポーズ(笑)。私の学び直しが子どもに良い影響を与えることができたなら、それだけで充分に意味のある選択だったと思っています。
◆時間をやりくりするために定めたマイルールとは? それにしても学生になってからは忙しい毎日で。歌手としての全盛期より遥かに忙しいです(笑)。それもそのはずで、20代は自分の時間を自分に使っている忙しさであり、家族を持ったら自分の時間をそこから捻出しなければならない。当然、家事もするし、子どもの学校の行事とか塾の送り迎えとか、そのうえに自分が学生まではじめてしまったので体がいくつあっても足りない状態です。 何が大変かというと時間を捻出するためには、ある程度睡眠時間を削るしかないことです。毎年、私のコンサートツアーの時期と期末試験の時期が被るんですよ。コンサートの打ち合わせやリハーサルが入ると、帰宅して家のことをしたあとに勉強するしかない。ある時、ツアーを一緒に周っていた織田さんから「かすれて痛い声になってるよ。寝なくちゃダメだぞ」と言われて反省しました。コンサートに来てくださるお客さんには私の個人的な事情は関係ない。つまり歌手としての自分をプライオリティの1番にしながら、学生として全うしなければいけないのだと思いました。 とはいっても試験勉強はしなければいけないので、どうしたら両立することができるだろう?と考えた末にマイルールを定めることにしました。大学の課題を出すサーバーが夜中の2時にクローズするんです。それ以前はクローズしたあとも朝まで頑張っていたのですが、2時になったら寝ると決めたんですね。それは歌手としての私の喉を守るためのルールだと自分に言い聞かせました。 そこまでなぜ頑張るのか?とよく聞かれるのですが、それは家族に対する意地もあったかもしれません。大学へ行くと伝えた時に家族や事務所からも反対されたので。主人からは「学部に4年通うって大変なことなんだよ、仕事はどうするの?」と心配され、子どもたちからは「ママ、勉強って大変なんだよ、できるの?」とか言われてしまい……。そこを振り切ってはじめたことだけに、絶対に4年で卒業するんだ、後には引けないぞという気持ちがありましたね。