相川七瀬「学び直しで親子関係が改善。歌一色だった20代より、今が一番忙しい。卒論を書き終え、4月からは大学院に」
◆自分を見つめ直すことが学び直し 大学に通った4年間を思い起こすと、決して楽ではありませんでした。でも人生で一番忙しい季節は、人生でもっとも充実している季節でもあって、なによりも楽しく学べたことがよかったです。第二の青春時代を過ごした、そんな気持ちもあります。 私は家族のことがあるので、夜間部ではなく昼間部に通っていました。同級生は、長男と同じ歳。クラスメイトとLINEで情報交換をしたり、一緒に実習に行ったり、応援団と陸上部の応援のコラボをしたり、仲良し女子グループで沖縄へ卒業旅行にも行きました。初対面の時は「えっ、歌手の相川七瀬さんですか?」とか言って驚いていたのに、卒業旅行では私が運転手を務めたという(笑)。でも楽しかった。何もかもが素敵な思い出です。 もしかしたら学び直しの一番の収穫は人間関係の幅が広かったことかもしれません。新しいサークルを確立して、自分の世界や視野を広げることが人生を輝かせることに通じると思います。私は目的があって大学に行きましたが、カルチャーセンターでも、地域センターの集いに参加するでも、ちょっと新しい環境に身を置いてみると、人間関係が広がって自分の知らない自分を発見できる。学びとは新しい自分に出会うことなのかもしれませんね。
◆やっとスタートラインに立った 大学院へ進学すると周囲の人に報告したら「まだやるの?!」と言われてしまうのですが、私としてはやっとスタートラインに立ったという感覚でいます。大学院では民俗学の研究をして、赤米神事に限らず、日本全国におけるお祭りを継承していくことの意義を探求していきたいと思っています。 もちろん歌手としての活動も全力投球で続けていきたいです。近年になって私は自身のコンサート活動だけではなく、神社での歌唱奉納をさせていただく機会に恵まれ、2017年の伊勢神宮の内宮、外宮、鹿島神宮の創祀2680年祭の時も歌わせていただきました。 正しい時、正しい場所、正しい自分の行いの3つが揃わないと神様に呼んでいただけないといつも考えていたので、これ以上にない喜びでした。 私はロック歌手ですが、伊勢神宮であれば伊勢神宮のために書いた歌を捧げるため、その曲は「動」ではなく「静」の曲になります。そのため最初はファンの皆さんから「相川七瀬は一体どうしてしまったのか?」「路線を変更したのか?」という声があがっていたようです。でも私の中では元気で激しい自分と、鎮魂歌を歌うような静かな自分がいて、50歳を目前としてようやくその「静」と「動」が合流点を迎えつつあると感じています。おそらく60歳あたりで完全に融合するのではないでしょうか。いずれにしても、神社で歌唱奉納をするたびに、神様からプレゼントをもらっている気がして、それがまた明日からの自分の活力になっています。