先代の半分!? 発売1年「インプレッサ/クロストレック」の販売が低調なワケ
そういう意味で現在、販売されているスバル車の中で最新のモデルとなる、インプレッサとクロストレックの兄弟は、もっとも熟成され、もっとも進んだスバル車と言えるのだ。実際に乗ってみると、デキのいいクルマであることがわかる。 しかし、結果が今ひとつというのも事実。その理由は何だろうか。 ■技術的フラッグシップ「レヴォーグ」の存在 個人的に思うのは、先代となる5代目モデルの登場が、“あまりに鮮烈すぎた”ということだ。しかも、先述のように、このモデルはよく売れた。
ちなみに、先々代となる4代目は、2011年にデビューして、翌2012年の販売は5万2017台だった。現行の3万4379台よりは多いけれど、7万台を超えた先代にはかなわない。 なぜ、先代モデルは売れたのか。その理由は、内容にある。先代のインプレッサは、SGPをはじめ“スバル初”をうたう新技術を数多く採用していた。 初めて先代モデルに試乗したときは、その進化の大きさに驚かされ、“スバルでもっとも進んだクルマ”だと強く感じたものだ。そうした驚きが輝きとなって、ヒットにつながったのではないだろうかと考える。
ところが、現在のインプレッサは、そうした驚きをもたらす存在ではなくなった。その役を担うのは、スバルが”技術的フラッグシップ”と呼ぶ、レヴォーグだ。 今のスバルは、多くの新技術をレヴォーグでお披露目するようになった。そのためインプレッサとクロストレックに採用される技術は、レヴォーグで既知となったものが多くなる。 新世代アイサイトをはじめBOLDERデザイン、縦型ディスプレイ、フルインナーフレーム構造のボディといったものは、すべてレヴォーグが初採用であった。インプレッサとクロストレックが初採用した新技術は、ステレオカメラに単眼を追加したアイサイトの3眼化くらいだろう。
話題性に乏しくインパクトに欠けるため、ユーザーに強くアピールできなかったのではないか。車格やサイズの面でも、フォレスターとアウトバックとの間にレヴォーグが生まれたことは、インプレッサの販売に影響を与えたであろう。 また、現在の自動車業界のトレンドは電動化だ。スバルの場合、独自のハイブリッド「e-BOXER」も用意するが、モーター出力が小さいこともあり、電動感が小さく、なによりも燃費性能が格段に優れるわけではない。強力な低燃費型ハイブリッドの不在も不利になったはずだ。