「カタカナが思い出せない…」61歳敏腕記者を襲った認知症、“ボケの恐怖”と“体当たりの早期治療”
効果があると聞けば、なんでも試した
デイケアでは、数十人の参加者たちと共に、認知ゲームやダンス、美術、音楽と、さまざまなプログラムに取り組んだ。なかでも山本さんがいちばん効果を感じたと話すのが「本山式筋トレ」。 インストラクターの本山輝幸さんが考案した負荷のかかる強めの筋トレで、筋肉の刺激を脳に伝える“感覚神経”の働きを高めて、脳に刺激を与えることがわかっている。 「感覚神経が脳につながっていないと、痛みや疲れを感じなくなるんです。よく年を取ると暑さや寒さを感じにくくなるっていいますけど、鈍くなるんですね。何十キロも徘徊して行き倒れになる認知症の人がいますけど、それも疲れとか痛みの感覚を感じられないからだといわれています」 感覚神経がきちんと働いているかどうかをチェックするには、スクワットなど強度の高い運動をすること。そのとき、筋肉に痛みを感じにくいという人は要注意だ。山本さんも最初のころは痛みの感覚を感じにくかったという。 「3か月ほどで痛みを感じるようになって、いまでは胸や腕の筋肉を動かせるまでになりました。ある程度、負荷の強い動きでないと痛みを感じにくいので、スクワットやダンベルを上げる動きが有効だと思います。鍛えている部位を意識しながらやるのがポイントです」 デイケアでのトレーニングに加えて、生活習慣も改善していった。 「当時は、家に帰るのは午前様みたいな生活だったんですけど、できるだけ早く帰って早く寝て、お酒を飲む回数も少なくして深酒もやめました。睡眠障害があり、睡眠導入剤を何年も常用していたんですが、先生に相談しながら徐々に少なくして、服用をやめました」 食事も見直した。 「バランスのいい食事に気をつけて、青魚や野菜は意識してとるようにしています。自分で気をつけないとダメだと思うので、買い物も自分でして。事務所に朝早く行って、みそ汁やサラダを作って食べています」 料理をすることは、段取り力を養い、脳を活性化させると考えられ、認知力アップトレーニングのひとつにもなっている。