「寝る前3時間は食べない」がもたらす様々な効果とは。睡眠の質改善、認知症予防、メタボ体型脱却…認知症診療医が解説
◆生活習慣病を改善すれば、認知症も防げる このように普段の生活習慣を少し見直すだけで、加齢とともに感じやすい不調が起きにくくなり、体が軽くなって運動しやすくなり、さらには肌のトラブルが起きにくく顔の肌つやもよくなります。 つまり、生活習慣を正しく改善することは、認知症予防のみならず、体の中や外見のアンチエイジングにもなるのです。 世界的な医学雑誌「ランセット」が発表した論文では、高血圧や高血糖など生活習慣病を改善することで認知症になるリスクを減らせることが示されています(*1)。 認知症にはアルツハイマー型認知症だけでなく、血管性認知症、レビー小体型認知症など様々な種類がありますが、生活習慣病を見直すことで多くの認知症を予防することができるのです。
◆認知症にならないために「SCI」「MCI」を見逃すな 最近は、「主観的認知障害(SCI)」「軽度認知障害(MCI)」という認知症の前段階があることが知られるようになってきました。 「物忘れが増えた」や、「ちょっとした不注意やケアレスミスが目立つようになった」と感じるようなら、これにあてはまる可能性があります。 認知症にならないようにするために、特に見逃したくないのが「MCI」です。 MCIは日常生活に支障は出ていませんが、認知機能は低下し始める段階です。 MCIから認知症になる割合は、研究によって異なりますが、毎年10%といわれています(*2)。 これは現時点でMCIと診断された人を集めて放置した場合、5年間で約半数が認知症を発症するという計算になります。 逆に考えれば、MCIの段階で適切な対策や治療を行えば、認知機能を改善できる可能性があります。 寝る前3時間は食べないという生活習慣も、この先の認知症リスクを減らすための適切な対策の一つなのです。 ※本稿は、『ボケたくなければ「寝る前3時間は食べない」から始めよう 認知症診療医に教わる最強の生活習慣』(世界文化社)の一部を再編集したものです。 *1 Livingston, G. et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission. Lancet 396, 413446 (2020). *2 Bruscoli, M. & Lovestone, S. Is MCI really just early dementia? A systematic review of conversion studies. Int. Psychogeriatr. 16, 129140 (2004).
今野裕之