3歳児への聴取、「必要性を明らかに」と裁判長が東京都に求める。「警察官から人種差別」と訴えた母子の裁判、二審始まる
東京都は反論。個人情報の提供は「承諾を得ていた」
こうした原告側の訴えに対し、被告の東京都は、警察官の一連の対応に違法行為は認められないとして請求棄却を求めていた。 通報を受け公園に臨場した警察官は、2023年11月の証人尋問で、長女に対して「日本語しゃべれないのか」という発言はしていないと否認した上で、「日本語話せる?とは確認した」と述べた。 都側は、約4時間半にわたって女性らに事情聴取したことは認めるものの、「女性が帰宅を申し出たことはない」などと反論。さらに、民事裁判を理由に女性の連絡先を求められ、トラブル相手の男性に提供したことは認めるが、女性の承諾を得ていたと主張していた。 2024年5月の東京地裁判決(片野正樹裁判長)は、公園での警察官の発言について、「いきなり『お前』と呼びつけたり、高圧的な態度で事情聴取に及んだというのは、いささか唐突」だと判断した。 個人情報の提供については、「原告母が承諾していなかったとの事実を認めるに足りる的確な証拠はない」として、原告の主張を退けた。 その上で、警察官たちに違法行為があったと認めることは困難だとして、原告の請求を棄却した。 ♢ 11月14日の控訴審の第1回口頭弁論で、後藤裁判長は被告の東京都に対し、母子を警察署に同行して聴取し、さらに署内で長女ひとりに対して2度にわたって事情を聞いたことについて、その必要性を明らかにするよう求めた。 加えて、トラブル相手の男性に女性の連絡先を提供したことについても、その法的な根拠と、なぜそれが適法なのかを説明するよう求めた。 次回期日は2025年2月27日の予定。