大企業と中小企業で「生涯賃金」にどれくらいの差がある?
就職希望者の人気企業ランキングで大企業がトップを占めるのは、時代が変わっても同じようです。人気がある理由は倒産の可能性が低く安定しているという点以外に、やはり高収入が期待できるという点にも魅力があるからでしょう。 それでは、中小企業と大企業では生涯賃金でどれくらいの差があるのでしょうか。本記事では、中小企業と大企業の生涯賃金を具体的に比較します。就職を控えている人は参考にしてください。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
生涯賃金とは
人が一生の間に稼ぐお金を生涯年収と呼んでいますが、生涯賃金という表現になると給与所得者が勤務している間に稼ぐ賃金の総額になります。生涯賃金は、入社から退職までの期間に平均給与をかけることで計算します。 そのため、生涯賃金は勤務先や職種、業種、最終学歴などによって大きな差があります。つまり、生涯賃金の違いは勤続年数だけでなく、複数の要素が影響しています。 ■生涯賃金の計算 生涯賃金は、一般的に以下の計算式で計算します。 生涯賃金=平均年収×勤務年数 たとえば高卒の場合、「高卒の平均年収」に「19歳から定年退職年齢までの年数」をかけて計算します。勤務年数は、退職年齢が65歳であれば46年、大卒は42年となります。 大卒で65歳定年、平均賃金36万2800円、賞与割合18.5%と仮定すると、大卒の生涯賃金は以下のとおりです。 (36万2800円×12ヶ月+36万2800円×12ヶ月×18.5%)×42年=2億1667万8672円 ■生涯年収と生涯手取り 生涯賃金の他に、生涯年収や生涯手取りという指標もあります。生涯賃金は給与所得者を対象とした指標で、生涯年収は個人事業主なども含めた指標です。 また、生涯手取りは給与所得者の手取り金額をもとに計算したものです。収入や手取り、所得などの違いは以下を参考にしてください。 ◆収入 ・給与所得者……会社からもらうすべての金額(源泉徴収票の支払金額) ・個人事業主……事業によって発生した売上金額 ◆手取り……給与所得者の収入から税金と社会保険料を差し引いた金額 ◆所得 ・給与所得者……給与収入から給与所得控除を差し引いた金額 ・個人事業主……収入から事業にかかった経費を差し引いた金額 ■生涯賃金の条件別特徴 独立法人労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2022 ―労働統計加工指標集―」によると、学歴別・性別別の生涯賃金は以下のとおりです。 ◆学歴(60歳まで、退職金含まず) ・大卒……男性:2億6190万円、女性:2億1240万円 ・高卒……男性:2億500万円、女性: 1億4960万円 大卒・高卒別の差額は男性5690万円・女性6280万円、男性・女性別の差額は大卒4950万円・高卒5540万円です。つまり上記の統計では、性別よりも学歴による差額のほうが大きいことが分かります。