「菊池雄星と大谷翔平で免疫ができた」佐々木朗希を圧倒した盛岡大附の名コーチが“女子野球部”の監督に…「3年で日本一」を掲げるワケは?
菊池雄星、大谷翔平…花巻東の怪物たち
大学を卒業して盛岡大附に赴任した09年。花巻東には菊池雄星という怪物がいた。同年春のセンバツで岩手県勢初の準優勝、夏も甲子園ベスト4まで進んだチームの絶対エースは、監督の関口をして「手も足も出せないほどすごかった」と言わしめるほどの脅威だった。 その菊池が卒業すると今度は大谷が入学し、盛岡大附はまた花巻東の後塵を拝していたわけだが、その屈辱が大きな転換点となる。 それまでの、ピッチャーを中心とし最少失点で守り抜くスタイルから超攻撃的な野球にシフト。11年の秋から「打倒大谷」を掲げ、練習のほとんどをバッティングに費やした。それが、12年夏の決勝での大谷攻略、そして甲子園出場として結実したのである。 関口と松崎は、「菊池雄星と大谷翔平で免疫ができた」と口を揃えている。その証左こそ、大船渡の佐々木朗希を打ち崩した18年の秋だ。この時点で最速157キロをマークしていた剛腕相手に10安打7得点を浴びせて勝利し、世間に「強打の盛附」を印象付けた。 現在も日本人のトップを走るプロ野球選手と高校時代に渡り合った変遷は、松崎にとって指導者としての大きな自信となっている。「こうすれば勝てるだろう」ではなく「こうしたから勝てた」。言葉にも説得力が生まれる。 「大谷翔平と佐々木朗希と戦った話なんかは割とするんですけど、選手たちは『おお! 』みたいなリアクションで終わるんですよねぇ。まだ自分たちで吸収しきれてないというか」 そう言って、松崎が物足りなさそうに笑う。それは、試合で指揮をすれば明らかだという。 「そこそこ戦えるだろう」と意気込んだ相手とは普段通りの実力を出せるのに、格上だと判断した相手には及び腰となり自滅する。その度に、監督はチームの現在地を見定める。 「気持ちがまだ相手に向けられていて、自分たちに向いていないというか。要は、まだ心が弱いんですね。『試合の前に自分との勝負に勝たないとダメだよ』というマインドを身につけさせたいんですけど、まだまだですね」 聖光学院女子野球部が誕生して、まだ3カ月。29人の部員は、もちろん全員が1年生だ。しかし、松崎は「まだ1年生だから」と逃げ道を作るようなことをしない。
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