我が子の「発達障害」の特性を理解してもやっぱり……子育て中のイライラ解決法
親にとって、「我が子の成長」は何よりも楽しみなもの。日々、少しずつ出来ることが増えていく様子を見守るのは かけがえのないのない幸せです。一方で、「うちの子、周りの子とはなんか違うかも」と不安を覚えている人も少なくないかもしれません。なかなか話が伝わらない、ひとつの物事に強くこだわる、空気が読めない……。 【漫画】およそ30人に1人。「読み書き障害」で苦しむ子どもを知っていますか? そんなとき、ふと浮かぶのが「発達障害」という言葉。これは学習障害や注意欠陥多動性障害など、脳機能の発達に関係する障害のことで、近年広く知られるようになってきました。
周囲の子と“違い”があるのは、決して悪いことではありません。ただし、それをそのまま放置していると、親だけでなく子ども自身が苦しいまま。大切なのは、子どもの特性に合わせて適切なサポートをしていくことです。でも、一体どうすればいいのでしょうか。 そんな「親の不安」を取り除くべく、子どもの発達支援に取り組む人たちがいます。小学校教諭としての勤務経験を持つ、発達支援コンサルタントの小嶋悠紀さんと、『with class mama』メンバーでもあり、モンテッソーリ教育×感覚統合の視点を取り入れた研修や講座を行うりっきーさんです。さまざまな子どもの支援を経験してきたお二人に、発達障害のある子どもとの付き合い方やサポート方法についてお話を伺います。
長男の診断が下りるまで、本当にしんどかった
――まずは自己紹介からお願いします。 小嶋悠紀(以下、小嶋):2023年3月まで小学校で通常学級や支援学級の教員をしながら、保育士さんのキャリアアップ研修や、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の養護教諭むけの研修を行い、保育園でしっかり支援されてきた子どもたちを小学校で迎え入れる連携システムを構築させていただきました。今年3月には『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル』(講談社)という本を出版し、現在は「発達支援コンサルティング」をしております。 りっきー:私は現在、小学5年生の長男と小学1年生の次男を育てている母親です。長男が4歳のときに発達障害と診断されました。でも診断されるまでが大変長くて、それまでは「また半年後に来てください」の繰り返しで、なかなか療育にもつなげられず、先の希望が見えない日々が続いていたんです。ただ、私はとにかく自ら動かないと気がすまない性格で、病院でもわからないなら自分でなんとかしよう、と思い立ちまして。そんなときに出合ったのが「モンテッソーリ教育」と「感覚統合」でした。以降、がむしゃらに勉強し、現在はモンテッソーリ教室でクラスを担当する傍ら、保育園や療育施設に研修に出向き、子どもたちの発達について伝えています。 ――りっきーさんはまさに「当事者」の親という立場ですが、子どもの障害を受容(※障害を受け入れること)するまでに葛藤や悩みなどはありましたか? りっきー:「受容」って本当に簡単なことではないんです。私の場合はあちこちたらい回しにされていたので、診断が下りるまでがしんどかった。なかなか喋ってくれないから不安になっているのに、「早生まれで男の子だし、3歳になったら喋るから大丈夫ですよ」なんて言われて、真っ暗闇の中で宙ぶらりんになっているような感覚だったんです。 小嶋:保護者の方から「うちの子は大丈夫でしょうか」と聞かれたとき、ぼくら教員は「大丈夫ですよ」と言ってしまうんですね。それは保護者の不安を少しでも減らしてあげたいから。ただ、そうじゃなくて、「どんな点が心配ですか?」ともっと聞き返してほしいですよね? りっきー:本当にその通りで、「大丈夫」ではなく、もっと次につながることを言ってほしくて。だから診断が下りたときは、正直ほっとしました。「やっぱりそうだったんだ」と思うと同時に、頑張るべき方向性が定まったからです。ようやく支援も受けられるし、一歩踏み出せるぞ、と思いましたね。だから「受容」で言うと、他の保護者と比べて一瞬だったのかもしれません。その代わり、そこに至るまでに相当悩んだパターンです。