我が子の「発達障害」の特性を理解してもやっぱり……子育て中のイライラ解決法
子供の特性を理解していても、子育てでイライラしてしまうときは
――“名前がつく”ことで安心する一方で、子どもの特性を頭では理解していても、ついイライラしたり落ち込んだりする瞬間はありましたか? りっきー:仕事で他のお子さんと接しているときは何でもないのに、うちの中で息子に同じことをされると怒ってしまうことはあります。それもあって、我が家では「物理的な距離を取る」ことを意識しているんです。長男が5歳くらいの頃には子ども用のテントを常設して避難所にして、その中で気に入っているおもちゃとかセンサリートイを触って落ち着けるようにしていましたし、現在でもつい喧嘩になってしまったときは、長男は寝室へ、私は仕事部屋へこもったりして。そうやって少し離れることで怒りをコントロールできています。 小嶋:親子であってもそうやって物理的な距離を取るのは非常に重要だと思います。それにプラスするならば、心構えとして「なんで出来ないの?」と思わないことが大事。枕詞を「なんで」ではなく「どうしたら」に変えていくんです。すると「どうしたら出来るようになるのかな?」と建設的に考えられるようになっていきます。そして、「どうしたら」を自分にも向けてみること。お子さんと接していてイライラしてしまったら、「どうしたらこのイライラが消えるかな」と考えてみると、「順番を変えてみよう」「かける言葉を変えてみよう」と次の思考につながっていきますから。それともう一つ、「私はダメな母親」とは決して思わないでほしい。子どもの発達がゆっくりなのも、出来ないことがあるのも、育て方のせいではないんです。だから、発達障害のあるお子さんを育てているお母さんたちには、もっと自分を許してあげてほしいと思いますね。
――その言葉で気持ちが軽くなる人も多いかと思います。ちなみに、発達障害の子どもが増えているというニュースは本当なんでしょうか? 小嶋:たしかに、文部科学省の調査によると発達障害の可能性があると推定された小中学生は2012年には6.6%だったが、2022年には8.8%と数値としては増加しているんです。ただし、私たちの研究団体で10年前に調査した結果では、発達障害の可能性がある子は15%で、数値としてはもっと高かった。これは調査数や調査方法にも左右されますが、つまり、発達障害についての専門性がある人が見ればもっと見つけられるということでもあるのかな、と。なので、「発達障害の子どもが増えている」というニュースは、それだけ多くの大人が発達障害というものを理解しはじめてきたという風に受け止めた方がいいかもしれません。それは社会的な目が育ってきたということですから、とてもポジティブな結果とも言えます。