「生成AIは面白い」日本マイクロソフト津坂美樹の対話術
支えになったのは両親の教え──
支えになったのは「察しと思いやり」「相手の立場で考える」という両親の教えだ。 「親にいじめを訴えると、『なんで◯◯ちゃんはそうしたと思う?』と聞き返されるんです。もちろん自分をおし殺して相手に合わせろという意味じゃない。周りをよく見て学びなさいということでした」 言葉にならない相手の真意までくみ取ったうえで、自分が言うべきことを言う。コミュニケーションを極めることは、津坂にとって学校で生きるための術だったのだ。 こんなエピソードもある。一時帰国中、新幹線車内で妹と英語でけんかしていたら、母親に「ここは日本。日本語でけんかしなさい」と叱られた。けんかを恐れて言いたいことを我慢しなくてもいい。しかし、場に合わせた言葉で伝えなさいと諭された。 幼いころからコミュニケーションと向かい合ってきた津坂にとって、社員と密にコミュニケーションを取ることはごく自然なことだった。 今後は、津坂イズムをいかに組織に広げていくかが課題になる。 「マイクロソフトはお客様やパートナーの皆様からフィードバックをがんがんいただきます。ただ座って待っているだけでなく、自分たちからアクティブに聞き出すことが大切。社員には、プロダクトの強さに安心するのではなく、『次に何ができるか』という発想で外の空気をどんどん吸いに行ってほしいと思います」 つさか・みき◎東京都生まれ。1984年ハーバード大学卒業後、ボストン コンサルティング グループへ入社。88年にMBA取得。95年にパートナーに就任し2013年経営会議メンバーおよびCMOに就任。23年日本マイクロソフトへ入社し現職。
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