「想定為替レート」平均は1ドル=143.5円 3期連続で最安値を更新
想定為替レート 1ドル=145円が最多で約半数
2025年3月期首の想定為替レートは1ドル=145円が54社と最も多く、約半数(構成比49.5%)を占めた。次いで、140円が33社(同30.2%)、150円が4社(同3.6%)、143円が3社(同2.7%)と続く。145円と140円で約8割(同79.8%)を占めて集中している。 前期と比較すると、2024年3月期首は最多が1ドル=130円で61社(同55.9%)、次いで125円の21社(同19.2%)だった。1年でボリュームゾーンがそれぞれ15円、円安にシフトした。 2025年3月期首は、1ドル=120円台はゼロで、130円台が3社(同2.7%)に対し140円台が99社(同90.8%)と集中した。このほか、150円台が7社(同6.4%)だった また、想定為替レートの対ドル最安値は155円(1社)、最高値は135円(2社)で、20円の開きがあった。 ◇ ◇ ◇ 6月27日、東京外国為替相場は4月に次いで再び1ドル=160円台に突入し、円安ドル高の勢いが止まらない。 2024年3月期のドル円為替は、期首1ドル=130円台でスタートしたが、期末にかけて140円~150円台への円安が進み、2024年4月末には1ドル=160円台を付けた。政府・日銀による為替介入も実行したが効果は限定的にとどまり、歴史的な円安が続いている。 輸出比率の高い大手メーカーにとって、円安ドル高は業績の押し上げ効果を生む。2024年3月期首の想定為替レートは平均値129.0円だったが、円安が進行した結果、多くのメーカーが為替差益などの恩恵を受けた。109社の2024年3月期の業績動向でも、「増収増益」が半数以上の58社と最も多く、「減収減益」は21社と約2割にとどまった。 脱コロナと円安ドル高が輸出産業には追い風となり、大手が好業績を牽引した。また、今期の業績見込みでも現時点で半数近くの52社が「増収増益」を見込んでいる。輸出関連の大手企業は当面、円安ドル高による下支えで業績拡大が継続すると予想している。 一方で、円安の行き過ぎによるマイナス面の影響も無視できない。円安で輸入材や原料価格が高止まりするなかで、中小・零細事業者はコストアップ分の価格転嫁も容易でない。このため、内需型産業や下請けは仕入コストのみが上昇し、経営体力の消耗に繋がる。 2024年6月に東京商工リサーチが実施した「円安に関するアンケート」調査では、希望する為替レート(中央値)は、製造業で1ドル=130円だった。産業別では、製造業が農・林・漁・鉱業と並んで最高値だったが、実際の為替相場とは大きく乖離し、行き過ぎた円安が負担増を招いている可能性を否めない。為替動向は国内産業の企業業績を大きく左右するだけに、経営は難しいかじ取りを求められている。