6・6・6の日に思う「ゲゲゲ」の色あせない魅力 「水木しげる記念館」がリニューアル デジタル時代にマッチした光の演出も
【令和を変える!関西の発想力】 令和6年6月6日。この日付を見て、思わず背筋が寒くなった昭和世代は少なくないでしょう。なぜなら、昭和の人気ホラー映画「オーメン」の恐怖が忘れられないから。悪魔の子、ダミアンの頭にあった666のアザが恐ろしすぎて、6が3つ並ぶと鳥肌がたつのです。 【写真】歩道に設置された鬼太郎のキャラクターのブロンズ像。ねずみ男、鬼太郎も しかし、日本の悪魔は印象が異なります。水木しげる氏の漫画「悪魔くん」の影響でしょうか、どこかキュートな悪戯(いたずら)者といった印象が強く、恐怖よりむしろ親近感を抱いてしまいます。 このように、水木作品には怖いはずの悪魔や妖怪が人間らしく描かれ、親しみを感じるのが他にない魅力。特に「ゲゲゲの鬼太郎」の人気は絶えません。 また、水木氏と関西の関係は深く、自伝『ほんまにオレはアホやろか』には同氏が16歳の時、兵庫県の篠山に移り住み、大阪の精華美術学院に通ったことや、宝塚歌劇を観たことなど関西の思い出が綴られています。だからでしょうか。彼の作品には、どんな辛いことも笑いに変える関西のお笑い文化が感じられます。 そこで足を延ばして、約20年ぶりにリニューアルした「水木しげる記念館」を紹介しましょう。場所はもちろん、同氏の故郷・鳥取県境港市の水木しげるロード。2003年にオープンした後、10年のNHK朝ドラ「ゲゲゲの女房」の効果で大ブレークし、境港を代表する文化観光施設に。今回、新たな時代に向けて生まれ変わりました。 会場の演出がなんとも現代的です。従来の水木作品や歴史に加えて、同氏の少年時代や戦争体験が現在の感性に響くよう、シュールな演出で紹介されています。 なかでも、水木作品に登場する妖怪たち約50体が、うす暗い洞窟の中に潜むように展示されたコーナーは圧巻です。デジタル時代にマッチした光の演出が施され、妖怪たちが現代にワープしてきたような、不思議な感覚に観客を誘います。 また「水木しげるの言葉」と題したコーナーには「なまけ者になりなさい」など同氏ならではの名言がズラリ。今も人々の心に響きます。「大切な文化を未来へ伝えるためには、時代ごとに新しい光で照らすことが重要」。そんなメッセージが聞こえてきそうです。 そういえば、昭和世代が恐れた666は今、幸運を呼ぶエンジェルナンバーになっているそう。ダミアンのことは忘れても、ゲゲゲの妖怪たちは永遠ですね! (地域ブランド戦略家・殿村美樹)