パナに完敗の帝京大。ラグビーの日本選手権は、どうあるべきか?
今季は10月までのワールドカップと2月からのスーパーラグビーへの日本チーム(サンウルブズ)参戦に伴い、国内シーズンの日程が大幅に短縮。昨年まで続いたトーナメント制の選手権は、学生王者対社会人の一発勝負となった。トップリーグ王者としては、プレーオフ終戦の翌週に大学生との一騎打ちをおこなうこととなっていた。日本人初のスーパーラグビープレーヤーであるパナソニックの田中史朗は試合前、こう話していた。 「学生に厳しさを教えるという意味はあるかもしれません。帝京大も強いとは思います。ただ、どちらが勝つかわからない東芝さんとの試合(プレーオフ決勝で27-26と勝利)の翌週に…というのは…」 もっとも、堀江のような「一度トップリーグを終えた後にしばらく休んで、さらに日本選手権に向けて気持ちをあげるのは負担がある。(日本選手権の日程は)ショートにしてくれたら嬉しい」との意見もある。 それにこの日に限っては、昨季終了時から日本一を目指すと公言した帝京大が得点板に映らぬゲームクオリティを保っていた。ドミネートタックル(前半24分頃、ロックの姫野和樹が自陣ゴール前で会心の一撃!)や組織守備で、積み上げの成果を表現した。学生を率いる岩出雅之監督の「よく頑張りましたが、まだまだ力が足りなかった」という言葉は、ポジティブな意味でも正鵠を得ていた。 昨今は帝京大に追随して肉体強化に時間を割くクラブも増えており、対戦カードやタイミングによっては入場料分の価値は担保されうる。 来季からは、また選手権の方式が変わる。複数のトップリーグクラブと学生は従来の4チーム参加ではなく学生チャンピオンだけによるトーナメントとなる見込み。大学選手権を制したチームは、まずはトップリーグの優勝に届かなかったチームとの対戦となる方向だという。「(日程を)ショートに」という堀江ら選手からのニーズ、学生の健闘ぶりが観たいというファンのニーズ、国際経験(スーパーラグビー参戦)と国内興行(日本選手権開催による注目度の担保)を両立させたい運営側のニーズ、そのすべてに応えうる、現状ではベストな方式かもしれない。 なお、昨季のトップリーグ6チームと大学4チームによるトーナメント方式の日本選手権では、その年のトップリーグで10位だったNECに帝京大が勝っている。「前回の選手権では、学生が順番にチャレンジして、勝って…となっていた」と田中が指摘する傍ら、パナソニックのロビー・ディーンズ監督は「大学生が1回のチャレンジで日本一を獲得するチャンスを得られることには疑問を感じます。ただ、日本選手権の伝統はリスペクトすべき。まだ決まってはいませんが、正式なルートから発表される来季のフォーマットの方がいい」と談話を発した。 (文責・向風見也/ラグビーライター)