アカデミーのテコ入れに着手。反町康治GMの本気「エスパルスも理想的な循環を作っていかないといけない」
清水としての「基準」をより明確に
「17歳でJリーグデビューし、10代でA代表入りする選手を作る」とJFA技術委員長時代に目標を掲げていた反町GMだけに、アカデミーの活性化、出身者の成長曲線の引き上げは真っ先にやるべき課題と捉えているのだ。 「自分がJFAで最後に手掛けた仕事の1つが、2023年U-17ワールドカップで4ゴールを挙げ、来春からイングランドのサウサンプトン入りが決まった高岡怜颯(日章学園)のJFA・Jリーグ特別指定選手への推薦。彼は今季、J3のテゲバジャーロ宮崎に登録され、試合にも出られるようになりましたけど、高体連の選手でもプロの経験を早く積めるようにしなければいけないと考え、働きかけました。 エスパルスユースの選手は彼のような特別措置がなくても2種登録さえすればトップの試合に出場できる。目の前にチャンスが広がっているんです。今季、西原が試合に出ているのは好材料ですけど、もっともっとそういう流れを加速させないといけない。エスパルスのアカデミーには年代別代表入りするような選手が毎年のように出てきていますから、彼らをいち早く、高いレベルに引き上げることが肝心。そのためのアクションを積極的に起こしていくつもりです」と、反町GMは意気込みを新たにする。 第一弾として7月に計画しているのが、アカデミーコーチ全員を集めた本格的な研修。ユース、ジュニアユース、同三島、U-12清水、同三島と、エリートを育てるチームに携わるスタッフ総勢40人と、スカウティングスタッフも加えた大々的な学びの機会を設置。清水としての「基準」をより明確にしていくのが狙いだという。 「JFAにいた時、JFA公認S級ライセンス講習会で話をしたこともありましたけど、自分は日本サッカーの現状、育成の現在地、エスパルスの立ち位置と課題を冷静かつ客観的に見れるのが大きな強み。それをチームに活かしてもらうことが重要です。 短期的目標としてトップチームのJ1昇格・定着というのがありますけど、中長期的な課題としてはやはりアカデミーからより優れた人材を数多く引き上げられるようにしていかないといけないと痛感しています。 J1を見渡すと、サンフレッチェ広島などは川村拓夢、満田誠といった人材が次々とトップで主力になっていて、ある程度の成功を収めている。エスパルスも理想的な循環を作っていかないといけない。単にトップに上げるだけでなく、J1で活躍できる人材を多く育てることを目ざすべきですし、アカデミーのチーム自体が全国大会でタイトルを取ることも重要ですし、アカデミー出身選手が将来、社会でリスペクトされる人間になるといったことも同時並行で進めていくべきですね」 熱っぽく語る反町GM。その言葉の端々には、自身が育ったサッカーの街・清水の復活、活性化への強い思いが感じられる。清水育ちのGMが本気でアクションを起こした先にどんな景色が見られるのか。非常に興味深いところだ。 ※第2回終了(全3回) 取材・文●元川悦子(フリーライター)