携帯電話業界の「料金競争」が新たな局面へ、ドコモ、KDDI、ソフトバンクのサブブランドが“通信容量”の拡大でしのぎを削る
2024年11月から携帯電話業界で新たな料金競争が本格化する。 NTTドコモが9月12日、「ahamo」の月額2970円(税込み、以下同)でのデータ容量を20GBから30GBに拡大すると発表。これに対しKDDIが10月17日、ソフトバンクが10月25日と相次いで、サブブランドでの料金改定を打ち出している。 【写真で見る】ahamoは20GBで2980円のワンプランが特徴だったが、2980円を維持しつつ30GBに増量された ■年々増加するスマートフォンの通信量 この一連の動きの発端となったNTTドコモの対応は、ユーザーの声に端を発していた。
NTTの機関投資家向け説明会(9月30日開催)で、ドコモの前田義晃社長はahamoの解約率が高まっていることについて言及。「お客様の声を調査したところ、経年的なデータ利用量の増加に対して既存プランではデータ量が不足してきたという不満がかなりあることがわかった」と説明した。 実際、ユーザーの通信量は着実に増加している。MM総研の調査によると、月間平均通信量は2020年12月の7.56GBから2023年1月には10.09GBと約1.3倍となっている。2021年3月のahamo提供開始から3年半が経過し、20GBの容量設定が見直し時期を迎えていたことがうかがえる。
10月17日、KDDIはahamoへの対抗策を発表した。KDDIのパーソナル事業本部マーケティング本部の渡邊和也氏は「中容量帯はいろいろせめぎ合っており、その競争の中での取り組み」と位置付ける。 KDDIのサブブランドのUQ mobileで11月12日から「コミコミプラン+」を提供開始し、月額3278円で30GBの利用を可能に。さらにデータ10%増量特典で33GBまで利用できる。また、オンライン専用プランの「povo」では、「データ追加360GB(365日間)税込2万6400円/回」として、年間契約で月額換算2200円という攻めの価格を打ち出した。
10月25日、ソフトバンクも両面から対抗する。オンライン専用の「LINEMO」では、大容量プラン「LINEMOベストプランV」を11月1日から月額2970円で30GBまでのデータ通信を一律で提供。現行の2段階料金(20GB以下:2970円、30GB以下:3960円)を改め、ahamoに揃えたシンプルな料金体系で競争力を高める。 実店舗型の「ワイモバイル」では、「データ増量オプション」の容量を倍増し、基本使用料4565円、各種割引と組み合わせることで実質2178円から30GBを利用できるプランを提供する。ソフトバンク広報の「料金プランについては市場環境をみながら常に検討している」という説明からも、競合他社の動きを踏まえた対抗策として打ち出されたことがうかがえる。