日本が見習うべき台湾の驚きの「保険システム」…日本にはない「セーフティネット」のカタチ
コロナ禍において国民全員にマスクを配布するシステムをわずか3日で構築し、世界のグローバル思想家100人にも選出された若き天才オードリー・タン。自身もトランスジェンダーであるタン氏が、日本の若者に向けて格差やジェンダー、労働の問題からの「解放」をわかりやすく語る『自由への手紙』(オードリー・タン著)より抜粋してお届けする。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 『自由への手紙』連載第5回 『格差を根絶するたった二つの「冴えたやり方」…IQ180の若き天才が提案する「誰にでもできる」解決策』より続く
不安から自由になる
「経済的な不平等をなくすためにはどうしたらいいでしょう?」 「一人ひとりが収入を増やす機会を得て、経済的不平等をなくすために最適な方法とはなんでしょうか?」 こうした質問へのひとつの答えとして、台湾で私たちがやっていることを紹介したいと思います。
マスクを「すべての人」に
多くの国では、新型コロナウイルスの検査費用は病院に行くよりも安価になってきていますが、台湾では正反対です。病院やクリニックに行くほうが、検査を受けるよりも安い費用ですみます。 それが台湾の医療状況のとても興味深い点なのですが、台湾は1995年に「全民健康保険」を導入しました。いわゆるユニバーサルヘルスケア制度(国民皆保険制度)で、政府が保険料を徴収して医療費を負担する単一支払者制度となっています。 特にユニークな点は、台湾国民だけでなく半年以上台湾に住んでいる人は誰でも国民健康保険を利用できることです。 新型コロナウイルス感染を疑う症状が出ても、台湾で暮らす人たちは、金銭的負担も社会的プレッシャーも感じる必要はありません。 国民健康保険証を使ってマスクを入手し、近くのクリニックへ行けばいい。ただそれだけです。 そうすると、すべての人々を責任ある市民として公衆保健に参加するよう、促すことができます。 台湾では、単一支払者制度がここ数年ほどで当然のものになりました。これは純粋な社会主義制度と言えるでしょう。