子どもの不登校で増える親の退職・休職…NPO代表の訴え「親は自分を責めないで」
受け入れてくれる場所があると知って欲しい
土橋氏は、「正直、LINEを1~2往復したからといって、劇的な変化というのはありません」と前置きした上で、親からは、「こんなに寄り添った言葉をいただいたのは初めてです」といった声や「気持ちを聞いていただくことで、私自身が落ち着いた」という声が届いていると話します。LINE相談という、相談までのハードルの低さも好評です。 「頼れば確実に受け止めてもらえる場所でありたいと思っています。第三者に相談してもいいんだ、受け入れてくれる人が世の中にいるんだとわかってもらいたいです。相談窓口を始めた時からずっと、親御さんの味方という立ち位置です」 今後は、「お母さんのほけんしつ」をより多くの人に届けるため、スタッフを増員し、受け入れ体制を整えていく予定です。さらに、地域で子育てを支えるための情報発信も増やしていくといいます。2023年11月には、不登校に特化した専門サイト「たより」をオープンし、栃木県内のフリースクールや親の会などの情報を積極的に発信しています。 さらに、2024年4月からは、さくら国際高等学校宇都宮キャンパス(※認可申請中)のサポート校として「ライフデザイン学科」を運営する予定です。
悩んでいる親がいれば、自然と助け合えるような社会に
「本当は事業にしなくても、困ったことがあったら、近所の方が話を聞いてくれたり、子どもを預かってくれたりするような、地域で支え合える環境があればいいと思っています。 核家族化が進んで、共働き家庭が増えて、子育てに関わる人数が減っていますが、子育て支援は整備されていません。私たちのような機関がなくても、悩んでいる親がいれば、自然と助け合えるような社会になって欲しい」と土橋氏は願います。 文部科学省が2023年10月に発表した不登校の小中学生の人数は29万9048人で、過去最多を更新しました。「お母さんのほけんしつ」は、地域や学校からは見えにくい、不登校の親の苦悩が表面化される場所です。学校と親子の二者間では打開策がなく、悩みを抱え続けている親子にとっては、気兼ねなく頼ることができる唯一無二の存在となっています。土橋氏は今後も、「長期的なスパンで子育てに伴走する気持ち」で、親子に寄り添っていきます。