妊娠中の「膀胱炎」や「尿漏れ」の原因はご存じですか? 予防法・治療法も医師が解説!
妊娠中の尿漏れや膀胱炎の治療法は?
編集部: 妊娠中の膀胱炎には、どのような治療をするのですか? 叶谷先生: 基本的には妊娠していないときと同様、抗生剤治療をおこないます。妊娠中だと使えない薬もあるため別の薬剤に代えることはありますが、基本的な標準治療は変わりません。 編集部: ほかにもありますか? 叶谷先生: 尿漏れに対しては産前と同様、骨盤底筋訓練が有効です。妊娠中から骨盤底筋訓練をおこなうことは、産後の尿失禁予防にも役立つとされています。スタートが早ければ早いほど効果も出やすいので、妊娠中や産後早期からぜひ取り組んでいただきたいですね。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 叶谷先生: 妊娠や出産は幸せな一大ライフイベントですが、尿漏れや膀胱炎などになってしまう妊婦さんは非常に多くいらっしゃいます。早期であれば生活習慣の改善や骨盤底筋訓練などのセルフケアで対策できます。育児で忙しい日々の中でも、ぜひ子どもだけでなく自分の体にも目を向けてあげてください。産後、特に症状を感じなくても、出産を経験した女性は必ずと言っていいほど骨盤底筋が緩んでいます。実際に40歳を過ぎてから「尿漏れが気になる」と来院される女性も多いので、産後早期から骨盤底筋の体操を取り入れた方がいいということをぜひ知っていただきたいですね。
編集部まとめ
妊娠中の泌尿器系統への影響を理解することは、妊娠中の女性だけでなく、産後の女性にとっても非常に重要です。尿漏れや膀胱炎を予防するためには、生活習慣を意識するとともに、排尿コントロールの要である骨盤底筋を鍛えることが効果的とのことでした。育児で忙しい生活の中でも自分のことを後回しにせず、少しの時間でもいいので骨盤底筋の体操をしてみてはいかがでしょうか。そして、症状が気になった時は、我慢せずに泌尿器科を受診しましょう。
【この記事の監修医師】
叶谷 愛弓 先生(レディースクリニックなみなみ) 東京女子医科大学医学部卒業。東京大学大学院医学系研究科修了。東京大学医学部産科婦人科学教室入局、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東京大学医学部附属病院など、複数の病院で勤務医として経験を積む。2024年、東京都目黒区に「レディースクリニックなみなみ」を開院。医学博士。日本産科婦人科学会専門医。日本周産期・新生児医学会、日本女性医学学会、日本人類遺伝学会、日本産科婦人科遺伝診療学会の各会員。