父が、孫のために「毎年110万円ずつ15年間渡す」と言っています。「非課税」だから問題ないそうですが、本当に大丈夫でしょうか? 注意すべき点を教えてください
祖父母が自身の子どもや孫のために資産を残してあげたいと考えるのは不思議なことではありませんが、いざ渡す際に気になるのが贈与税や相続税などの問題でしょう。 それぞれ控除される部分があるため、それを超えなければ課税されないと考える人は多いかもしれませんが、たとえ控除枠におさまっていても必ず非課税になるとは限りません。 本記事では、祖父が孫のために毎年110万円ずつ15年間贈与する場合は課税されるのか、注意すべきポイントはあるのか、今回は2024年1月からの法改正の内容もふまえて解説します。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
基礎控除額以下でも贈与税がかかることもある
今回祖父が「毎年110万円ずつ15年間渡す。非課税の範囲内だから問題ない」と発言していますが、これは110万円以下であれば贈与税の暦年課税の基礎控除額の範囲を超えず、課税対象金額がゼロになるからという意味です。 祖父と孫との間で毎年贈与契約を締結し、契約内容に基づいて着実に贈与が行われ、毎年の贈与額が110万円以下であれば基本的に贈与税はかかりません。ただし、将来にわたって贈与されることがあらかじめ決まっている場合は、定期的に贈与を受ける権利を受けているとみなされて贈与税がかかることがあります。 今回の場合も、祖父が「毎年110万円ずつ15年間渡す」と発言しており、よほどのことがない限り今後15年間は毎年110万円ずつ贈与を受けることが約束される形です。そのため、たとえ毎年の贈与額が基礎控除額以下であっても課税対象となります。
生前贈与加算期間の延長
主に自分が亡くなった際に発生する相続税の負担を軽減するために、子どもや孫などに生前贈与をしたいと考える人は多いかもしれませんが、法改正により2024年1月から贈与や相続に関する取り扱いが大きく変わりました。 これまでは生前贈与をしてから3年以内に相続が発生すると相続財産に加算しなければなりませんでしたが、今回の法改正で生前贈与加算期間が3年から7年に延長されました。 例えば、2024年2月1日に生前贈与を行い2028年6月30日に亡くなったとします。旧制度では2025年6月30日までの期間が相続税の対象でしたが、新制度では2024年2月1日の贈与も相続税の対象に含まれます。 これだけみると納税する側にとっては不利になったといえるかもしれませんが、今回延長された4年分については総額100万円まで控除できる仕組みが作られたのは見逃せないポイントです。 なお、生前贈与加算期間の延長は相続人に対する贈与が対象です。つまり孫や子どもの配偶者など相続人ではない者は原則対象外となる点にも要注意です。