「欲をかかない、欲をかかない…」 遅咲きルーキー高木優奈の“呪文”
◇国内女子◇NOBUTA GROUP マスターズGCレディース 2日目(18日)◇マスターズGC(兵庫)◇6506yd(パー72)◇曇り(観衆2964人) 【画像】イ・ボミはアンバサダーとして兵庫に来ています 高木優奈が通算7アンダー、10位で決勝ラウンド進出を決めた。2019年に、今はなくなったQT挑戦からのTPD登録でプロ転向したが、プロテスト合格は昨年。1998年度生まれの“黄金世代”で26歳の“遅れてきたルーキー”がシーズン終盤戦でツアー初優勝に挑む。 この日は首位と1打差3位から出て、4バーディ、3ボギーとスコアは伸ばしきれない「71」止まり。首位との差は4打に開いた。しかし「今週の目標は“毎日アンダーで回ること”なので。“欲をかかない、欲をかかない”と呪文のように唱えて、回っていました」と納得顔だった。
カットラインは2、3アンダーが当たり前。一日に数人が60台前半のスコアを出す。伸ばし合いが常態化した国内女子ツアーで今季は出場30試合で17試合も予選落ち。50位以上で来季シードがとれるメルセデスランキングも69位…。熾烈な環境の中で「私も伸ばさないと…」ともがいてきた。 分岐点は2週前「スタンレーレディス」の第1ラウンド。ツアー自己ベストの「63」が出た。「あ、私も9アンダーが出るんだ」と肩の力が抜けた。「グリーン真ん中を狙って2パット。5~6m(のチャンス)が入ったら、バーディ。それが私のゴルフ」。思えば昨年、6度目の挑戦で合格したプロテストもそうだった。「だから、自分のスタイルとして、受け入れられるようになったんです」と話す。
今風の“攻撃ゴルフ”でなく“セーフティなゴルフ”でいい。そう達観すれば、プレーぶりも楽になる。インの第1組、午前7時30分からスタートした前半は3バーディ、ボギーなし。早いジャッジ、無駄のないルーティンでお手本のようなプレーファストを実践。同組のイ・ヒョソン(韓国)、アマチュアの塩手莉彩(りさ)とテンポよく回り、前半をわずか2時間8分で駆け抜けた。 「明日から調子のいい選手と同組で回ることになると思いますが、自分で決めたことをきっちりやっていきます」。同じ神奈川県小田原市出身で、5歳下の佐藤心結が「スタンレーレディス」でツアー初優勝を飾り、18番グリーンサイドで号泣しながら抱き合った。今度は自分が…。そんな思いを抑え込み、安全にステディに残り2日に挑戦する。(兵庫県三木市/加藤裕一)