東京五輪OA枠候補に柴崎岳急浮上で本田圭佑の野望はどうなる?
東京五輪出場を目指す理由を、本田は「運命」という言葉に帰結させた。さらにACLを戦うメルボルン・ビクトリー(オーストラリア)の一員として来日し、凱旋ゴールを決めた3月12日のサンフレッチェ広島戦では、この時点でちょうど500日後に迫った東京五輪へこんな言葉も残していた。 「もうノンストップでいきますよ。けがなくプレーしていけば絶対に出られると思っているし、出るだけではなくて、メダルを取りに行けるプロジェクトでいま動いているので」 すでにメルボルン・ビクトリーからの退団も表明。東京五輪へ向けてより高いレベルでのプレーを望み、2年ぶりとなるヨーロッパへの復帰も視野に入れている本田は、存在感や個性が強烈すぎるがゆえに若手から畏怖されるのでは、という問いに対しては笑いながらこう答えている。 「後輩に怖がられた経験なんて、人生でないんですけどね。何ならオレのいろいろな後輩に、オレが怖いかどうか聞いてみて。まあ、とにかくプレー面で確実に満足のいく形でピッチに立てなければ意味がない。なので、もちろんプレーファーストでいきたいと思っています」 歴代の五輪代表監督と同じく、森保監督は東京五輪世代を切磋琢磨させながらチームの骨格を作り、足りない部分にオーバーエイジを招集する青写真を描いている。コパ・アメリカではゴールキーパー、センターバック、左サイドハーフ、1トップ、そしてボランチで東京五輪世代以外が先発した。 残された1年間で東京五輪世代がどれだけ成長してくるのかにもよるが、これらがオーバーエイジの起用が考えられている候補のポジションとなると見ていいだろう。そして、ひとつのポジションに2人のオーバーエイジを招集することもまた、過去の例を含めてまず考えられない。 東京五輪後は2022年のワールドカップ・カタール大会をにらみ、世代間の融合をさらに加速させていく。ロシア大会以降は自らの意思でフル代表から遠ざかっている本田にとって、ただでさえ厳しい状況に立たされているうえに、リーダーシップを含めて柴崎がコパ・アメリカで及第点を得た。 五輪でも各国協会は選手を拘束する権利をもたない。来夏の時点で柴崎が所属するクラブとの交渉が必要になるが、現状では西野ジャパンに続いて森保ジャパンでもボランチの主力になった柴崎を逆転しない限り、野望をかなえるうんぬんの前に、本田はスタートラインにも立てないかもしれない。 (文責・藤江直人/スポーツライター)