「ダウン症」は事前に検査で調べられることをご存じですか? 受ける時期や費用の目安も医師が解説!
NIPTを受ける際の注意点
編集部: NIPTを受ける際の注意点はありますか? 仲田先生: 非認証医療機関でおこなうNIPTは検査項目が多岐にわたり、一度の検査でたくさんのことを理解することができます。その反面、医療機関によって検査精度にばらつきがあり、非常に正確なデータを提供してくれるところから、あまり精度が高くないところまで様々です。そのため、NIPTを受けるときには「どこの医療機関で受けるか?」ということを慎重に考慮する必要があります。 編集部: 医療機関の良し悪しを見分けるには、どうしたらいいのでしょうか? 仲田先生: ポイントとなるのが、「その医療機関はどの検査機関と提携しているか?」ということです。通常、NIPTの検査を受けると、その血液は医療機関から検査機関に渡され、そこで分析されることになりますが、実際は検査機関によって分析の精度が全く異なります。簡単に言えば、日本国内よりも海外でおこなう検査の方が、信頼性が高いのです。アメリカやヨーロッパでは、保健当局の審査を受けないとNIPTが提供できない一方で、日本では厚生労働省の認証した検査が1つもありません。そのため、NIPTを受ける場合には「検査機関が海外にあるか、それとも国内か」を必ず確認するようにしましょう。 編集部: そのほか、気をつけることはありますか? 仲田先生: 検査の前や後で、妊婦さんのフォローやケアをしっかりおこなう体制が構築されているかどうかも重要なポイントです。過去の患者さんの例ですが、「他院でNIPTを受けたら異常が見つかって中絶した。もう怖くて妊娠できない」という女性がいらっしゃいました。残念ながら、他院では検査後のアフターケアが万全ではなく、彼女は妊娠に対して大きなトラウマを抱えてしまったのです。「NIPTはあくまでも疾患のスクリーニング。それに、次回妊娠しても、また同じ検査結果になるわけではありません。だから安心して、また妊活を頑張りましょう!」と私がアドバイスすると、彼女はパッと表情が明るくなり、その後に3人元気なお子さんをご出産されました。 編集部: 検査後のアフターフォローがとても大事なのですね。 仲田先生: そう思います。女性にとって、NIPTの検査と診断は一生を左右し得る重要なものです。そのため、万が一陽性と判断されたときのフォローはとても重要です。サポート体制がしっかり構築されている医療機関で検査を受けると安心ですよね。 編集部: NIPTの検査は、いつから受けることができるのですか? 仲田先生: 一般には妊娠9~12週から受けられるとされています。しかし、なかには「もっと早く知りたい」という人もいらっしゃると思います。そうしたニーズに応えるため、より早い時期に検査を受けられる医療機関もあります。例えば、当院では臨床研究として、6週からお受けしています。詳しい検査内容は、対応している医療機関までお問合せください。 編集部: NIPTの検査はいくらで受けることができるのですか? 仲田先生: 多くの医療機関では、10~20万円が目安です。参考までに、当院の場合は17.6万円ですが、13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーという3つのトリソミーの診断に加え、性別の診断がついています。医療機関によって費用に幅がありますし、内容も異なります。検査を希望する際には内容や項目をよく調べ、納得してから検査を受けるようにしましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 仲田先生: 以前、中国でNIPTを扱う検査機関が結果を詐称し、偽陰性(実際は子どもに疾患があるのに、陰性と判断すること)を避けるために陽性をたくさん出し、集団訴訟になったことがありました。つまり、検査結果は判定基準を変えることで容易に操作できるということです。NIPTを受けることは、妊婦さんにとって非常に重要なことですし、万一陽性の判定が出たら、出産を諦めて中絶を選ぶ人もいるかもしれません。そう考えれば、NIPTを受ける医療機関は慎重に選ばなければならないということがわかるはずです。「検査機関は海外か、日本か」「陽性になったときにサポートやケアを受けられるか」といったことをしっかり考慮し、納得して医療機関を選びましょう。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]