今こそ言いたい「日本経済を衰退させた真犯人」、重要な選挙で日本経済の未来が議論されない日本の異常さ
■アメリカと比べて5割も豊かだった日本 1980年代の後半には、日本の1人当たりGDPは、実にアメリカの1.5倍になっていた。これは、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われていた時代のことだ。だが、2023年における日本の1人当たりGDPは、アメリカの約7割程度でしかない。 いまとなっては、日本がアメリカより豊かであり、しかも5割も豊かであった時代があったことが信じられない。しかし、このような時代は、実際にあったのである。
その後、中国の工業化とIT革命という世界経済の大きな変化によって、日本の相対的優位性が崩され、日本とアメリカの1人当たりGDPの比率は低下した。 それでも、2000年における値は1を超えていた。2000年は、沖縄でサミットが行われた年だ。日本は、この時、参加国中で最も豊かな国だったのである。 ところが、2023年に広島で行われたサミットにおいては、日本の1人当たりGDPは参加国中で最低になってしまった。この20数年の間に、極めて大きな変化があったのだ。
しかも、日本の地位の低下は、その後も止まらずに続いている。この状況が続けば、未来の日本は、さまざまな面において、大きな困難に直面せざるをえないだろう。 1980年代に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称された日本が、その後、世界における地位を下げたのは、1980年代、1990年代に生じた大きな世界経済の構造変化による。なかでも重要なのは、中国が工業化に成功したことだ。そして、情報関連技術において、IT革命と呼ばれる大きな変化が生じたことだ。
このいずれに対しても、日本は適切に対応することができなかった。それに加えて、政府の政策や企業が対応を誤ったのだ。 つまり、やりようによっては、中国工業化やIT革命に対して、対応が可能だったはずなのである。それだけでなく、こうした条件変化を利用して、新しい経済成長を実現することができたはずだ。 そうした対応に実際に成功した国・地域を、いくつも挙げることができる。アジアにおいては、韓国、台湾、香港、シンガポールがその例だ。