「お願いだからシャワーを浴びさせて」と懇願した日も「AKB48のお姉さん募集」の文字に近藤さや香が描いた幼少期の夢の先
活動を始めて最初にびっくりしたことは、デビュー当時にちょうどAKB48の武道館公演があったので、お披露目としていきなり武道館で歌って踊ったことです。「人生って、なんでこんな数か月ですごいことになるの!?」と衝撃を受けました。 ── 大変なこともありましたか? 近藤さん:睡眠時間がなくて、みんながピリピリして楽屋がなんとなく悪い雰囲気になったり、かなり多忙なスケジュールでお風呂に入る時間がなくて「お願いだからシャワーを浴びさせてください!」とみんなでスタッフに懇願したりと、大変なこともありました。
土曜日に秋葉原で劇場公演をしたあと、汗ダラダラの状態で夜中の生放送に出演して、そのまま空港に移動して早朝に北海道へ飛んでイベントに出るというスケジュールがあったんです。「お風呂入ってないのはまずいよね?」「あの子たち臭いねと思われるのは、さすがにまずいと思う」という声が上がり(笑)、みんなでスタッフさんに入浴をお願いしたら、「そうだよね。みんな昨日からシャワー浴びてないよね」と、急いで北海道のスーパー銭湯のようなところを見つけてくれて。みんなでからすの行水のようにお風呂に入ったことがありました。
でも、日本国内をあまり旅行してこなかった私にとって、ライブで全国を回って、メンバーと一緒に現地の温泉に入ったりご飯を食べたりしたことは、すごく楽しくて。日本をさらに好きになりました。 ── 歌やダンスももともと得意だったのでしょうか? 近藤さん:クラシックバレエは習っていましたが、歌は全然やっていなかったので、もしかしたら私の声はウィスパーくらいしか入っていないんじゃない?ということがあったかもしれないです(笑)。でも、グループには何かが強みという子たちが集まっていたので、歌がすごくうまい子はソロパートもたくさんありますし、ダンスがすごく上手な子は踊るシーンで前に立たせてもらっていましたし、私のようにラジオが好きでしゃべりを頑張りたいという人はラジオプロモーションに選ばれるという形でした。オールマイティな人というよりは、“オールマイティな人たち”として、みんなで補い合っていました。
PROFILE 近藤さや香さん 1984年生まれ、愛知県出身。2009年からアイドルグループ・SDN48の1期生として3年間活動し、2016年からはFMヨコハマ『Lovely Day』 でラジオパーソナリティを務めている。プライベートでは結婚・出産・離婚を経て、現在は小学校3年生の長男と2人暮らし。著書に『しあわせ護心術』(ワニブックス)がある。 取材・文/長田莉沙 写真提供/近藤さや香
長田莉沙