ラジエターやブレーキキャリパー、エンジンを塗るなら「ガンコート」しかない理由
ガンコートの特長その3・表面硬度の高さ
ラッカー塗料もガンコートも、すべての塗料の成分は「樹脂+溶剤+顔料」で構成されていて、塗膜の硬さは樹脂の種類や性質によって決まります。塗膜が柔らかいほど傷が付きやすく、硬くなるほどひっかき傷などの外的要因に対する耐性が高くなります。 塗膜の硬さは鉛筆の芯の硬さを基準として規定されており、ガンコートの塗膜は鉛筆硬度9H相当とトップクラスの硬さを誇ります。 この表面硬度の高さはラジエターやオイルクーラーへの施工で効果を発揮します。表面積を増やすために採用されている薄いフィンは跳ね石などで簡単に曲がってしまい、フィンが潰れると冷却効率が低下します。 ガンコートを施工したパーツは表面が硬くなるため、柔らかいアルミフィン自体が硬くなる効果があるのです。シリンダーやシリンダーヘッドなど、そもそも素材自体に充分な固さがあるパーツでは施工後の表面硬度の高さを実感することはできませんが、ラジエターやオイルクーラーでは効果は明らかです。 またガンコートの塗膜には汚れが付着しづらくなる防汚性能もあるため、汚れたラジエターのクリーニングも容易です。ガンコートがペイントしてあれば、オフロード走行で付着した汚れが簡単に落ちるのと同時に、高圧洗浄機の高圧洗浄水を当ててもフィンが曲がることはありません。
ガンコートの弱点は?
機能性塗料として数々の強みを持つガンコートは、他に代わるものがない塗料と言っても過言ではありません。ベーシックなソリッド色や美しいメタリック色、派手な蛍光色やクリアなどカラーバリエーションも豊富で、カスタムニーズにも充分に応えられます。 施工するにはスプレーガンを使用し、それに伴ってエアーコンプレッサーも必要ですが、ガンコートは硬化剤を使用しない一液性の塗料なので、硬化剤使用タイプよりも作業は用意です。 そんなガンコートの唯一最大の弱点を挙げるとすれば、170℃で1時間以上焼付乾燥を行う必要があるという点でしょう。 これはKG社がガンコートを開発した際にそのように設計してあるため、温度が上がらなくても加熱時間を長くすれば大丈夫なはず…という論理は通用しないようです。仮にうまくできたように見えても、設計値通りの性能が出るとは限りません。 そのために、全国各地に焼付乾燥器を備えた施工店が存在します。また、小さなパーツを塗りたいのであれば、カーベックで販売しているホビー用のクラフトオーブンを利用しても良いでしょう。 ラッカーやウレタン、パウダーコーティングなど他の塗装とはひと味もふた味も異なる個性と機能があるのがガンコートの魅力です。エンジン周りやブレーキ関連パーツを塗装する際は、是非とも活用したい塗料です。 ────────── POINT ポイント1・ガンコートは元々銃火器用の塗料として誕生した ポイント2・ガンコートには放熱性の高さ、耐薬品性の高さ、表面硬度の高さという三大特長がある ポイント3・塗膜性能を発揮させるには170℃・1時間以上の焼付乾燥が必要 ──────────
栗田晃