ラジエターやブレーキキャリパー、エンジンを塗るなら「ガンコート」しかない理由
ガンコートの特長その1・放熱性の高さ
前述の通り、ガンコートは発砲の際の熱による銃身の歪みを防止する目的で開発された製品です。具体的には銃身に伝わる熱を空気中に効率的に放散させることで過熱を抑制します。 塗ることで放熱性が向上する理由やメカニズムについては、ガンコートの最も重要な部分でありKG社からも公表されていません。しかしアメリカ軍が制式採用している事実は、ガンコートに確かな機能があるという証明といって良いでしょう。 放熱性の高さという機能は、バイクでは空冷エンジンのシリンダーやシリンダーヘッド、水冷エンジンのラジエターに施工することで、オーバーヒートの抑止や水温管理に効果があります。 放熱性の高さ=冷却性の向上を期待したくなるのも無理はありませんが、使用環境や測定条件によって「油温が○℃低下する」とは簡単には言えません。しかし例えばモトクロスマシンのアルミ製ラジエターの場合、未塗装品とガンコート塗装品でコースを同一周回走行した際の水温には明確な違いがあったそうです。 アルミニウムは素材自体の放熱性が高いのが特長ですが、その表面をガンコートでコーティングしてさらに水温が低下したということは、ガンコート自体の放熱性が優れているという証拠と言って良いでしょう。 空冷エンジンのシリンダーやシリンダーヘッドは熱のたまり場となる部分で、ガンコートによる放熱性の高さが最も効果的に作用する部分です。ブラック塗装のエンジンはレストアする際に再塗装すると仕上がりが断然良くなりますが、その際にガンコートを使用することで見た目に加えて機能面でもメリットがあるというわけです。 もちろん、空冷のチューニングエンジンにとっての必須パーツであるオイルクーラーへの施工も、放熱性向上に確実な効果があります。
ガンコートの特長その2・耐薬品性の高さ
外装パーツの塗装に使用するラッカー塗料やウレタン塗料にとって、ガソリンやシンナーなどの溶剤やパーツクリーナー、ブレーキフルードなどの液体は大敵です。ラッカー塗料はガソリンで簡単に溶けてしまい、耐ガソリン性があるウレタン塗料であってもブレーキフルードが付着することで変質し、剥離してしまう場合もあります。 これら一般的な塗料に対して、焼付換装後のガンコートははガソリンやシンナーで変化しないのはもちろん、ブレーキフルードでも剥離しません。 理由としては放熱性の高さと同様に、ガンコートはそのように設計された塗料であるというより他はありません。 通常の塗料の塗装面に脱脂洗浄力が強力なパーツクリーナーをスプレーすると、成分中のヘキサンやイソプロピルアルコールの作用によって表面がツヤ消し状になることがありますが、ガンコートのツヤはパーツクリーナーをスプレーしても変化しません。 最も人気のあるサテンブラックは、アセトンに浸しても塗装剥離剤でも剥がれないほど強靱で、ブレーキキャリパーやマスターシリンダーの塗装に最適です。もちろん、ガソリンが付着するエンジンパーツにとっても、耐薬品性の高さは大きなメリットとなります。