台湾に「経済的圧力」をかけた中国の大誤算…! じつはまったくの「逆効果」だったかもしれない…
台湾は半導体を武器に「戦略的不可欠性」を実現する
また、台湾の半導体ファウンドリービジネスモデルは、国策が後押しした成功例として注目されました。台湾は1970年代の国策によって生まれた半導体企業TSMCを擁し、日米が経済安全保障で戦略的物資の確保に走る中で、その存在感を増しています。今や米国も中国もTSMCなくしては自国の半導体供給が滞るのです。 これは、自民党「提言」の中で日本が目指すべきとしている「戦略的不可欠性」、つまり「その国がなければ世界が立ち行かない」を体現するものであり、それによって米国の対台湾積極的関与を引き出し、間接的に中国からの圧力を退けるパワーを得ています。 台湾の戦略的先見性が垣間見えるとともに、日本の「遅れ」を考えるうえでも、台湾の事例は参考になるでしょう。 ただしアメリカ共和党次期大統領候補のトランプが「台湾が半導体産業の100%をアメリカから奪った」などと発言し始めたことには注意が必要です。大統領選の結果によらず、アメリカ内での一部保守勢力による対台湾認識を示すものだからです。 続く記事【日本人の多くが誤解している「インド」という国…「親日」だけでは済まない「本質」】ではいま知っておくべきインドという国の実像について紹介しています。
中川 コージ(管理学博士(経営学博士)・インド政府立IIMインド管理大学ラクナウノイダ公共政策センターフェロー)