お金で何でも解決できそうな“超富裕層”に共通している3つの悩み。「絶対に負けられない戦い」も
プレゼントのマウント合戦、上がり続ける相場……
「お金の悩みは、主に節税です。『ケイマン諸島なら税金が優遇される』と聞いたら、そこに会社を移す話を税理士とします。今はドバイが多いですね。少し前のガーシー(本名・東谷義和)氏もしかりですが、税金が安いというのと、所得税や法人税が優遇されているので、ドバイに会社を移す方も増えました」 節税で悩むとは程度の差はあれ、我々と悩みが似ているではないか。しかし、お金持ち特有の悩みもあるのだという。 「たとえば、100万円する新作のブレスレットが出て『そういえば、あそこの娘の誕生日だったな』と、購入してプレゼントするとします。そうすると、もらった側も何かお返しをしなくてはならない。 そこで、プレゼントのマウント合戦が始まるんです。80万円のネックレスを返されると『私は100万円のものをあげたのに、向こうは80万円で返してくるわけ!?』と、関係が悪くなってしまうんですよ」 なので「60万円のコートをもらったから、80万円のマフラーでお返ししよう」と、どんどん値段がつり上がっていくのだとか……。 「あとはお土産のマウント合戦もあります。パリのお土産で珍しいワインを友人にあげたら、相手からは今はもう手に入らなくない何十年物のブランデーを渡されて『負けた!』と悔しがるお客様もいらっしゃいました」 プレゼントやお土産に勝ち負けもない気がするが、新井さんは「超富裕層は負けず嫌いな方が多いので、特にこのマウントが起きやすいのかもしれません」と分析する。 これ以外にも、超富裕層には「絶対に負けられない戦い」があると新井さんは語る。
名門校に入るための“お受験”戦争。執事が面接官役に
「事業の承継やお金を守るためには、それなりの頭の良さや自制心の他にも、人間性が必要になります。お金は諸刃の剣で、悪いことにも使うことができるので。お金を持ちすぎているが故に、自滅してしまう二代目を何人も見てきました。 だからこそ超富裕層は、自分の子どもを、大学受験に合格させるための学校よりも、“人間教育”をしてくれるような、名門小学校に入れたがります。東京では御三家と呼ばれる、慶應義塾幼稚舎、学習院初等科、青山学院初等部あたりが人気ですね。これらの学校では、素直さや思いやりを持つ、人間性を育てることに力を入れているので。入るためには小学校受験、いわゆる“お受験”が必要になります」 有名校は競争もすごそうだ。寄付金を使って裏口入学はできないのだろうか? 「名門校ほど、事前の寄付を断ります。学校へ『寄付金を入れたいんです』と問い合わせると『ちなみにお子さんはいらっしゃいますか?』と聞かれて、年齢とともに答えると『うちを受験されます?』と続いて、『はい』と言うと『お断りします』と。入ってからは、いくらでも寄付できますけどね。 なので、お受験のために我々執事も先生を探して、必死で受験対策をします。ある程度の面接突破力が必要なので、執事たちが模擬面接官になりきって練習することもありますよ」 しかし、どれだけ対策をしたからと言って、必ずしも受けるわけではないのが受験である。だからこそ、教育に頭を悩ませる超富裕層は多いのだという。 「合格できてもゴールではなくて、やっとスタートラインに立ったわけです。学校での人脈づくりもあるし、卒業後は事業とお金を守っていかなくてはなりませんからね。まだまだ教育の悩みは続いていきますよ」 ――超富裕層の悩みである、健康、お金、教育。程度の差はもちろんあるが、我々庶民の悩みと近いように思えるのは気のせいか。意外とどの層も、悩みの本質は似ているのかもしれない。 <取材・文/綾部まと> ―[超富裕層の生活]― 【綾部まと】 ライター、作家。主に金融や恋愛について執筆。メガバンク法人営業・経済メディアで働いた経験から、金融女子の観点で記事を寄稿。趣味はサウナ。X(旧Twitter):@yel_ranunculus、note:@happymother
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