渡り鳥サシバの生態学ぶ 奄美大島宇検村で観察会 家族連れなど40人が参加
鹿児島県宇検村主催のサシバ観察会が26日、同村宇検の防災会館などで開かれた。やけうちっ子環境学習世界自然遺産博士講座(宇検村教育委員会主催)受講生の児童生徒と保護者、島内外の野鳥愛好家ら計約40人が参加。参加者は野鳥写真家の与名正三さん(72)、奄美いんまや動物病院の伊藤圭子獣医師(47)から身近な野鳥の生態などを学び、奄美大島に秋の訪れを告げる渡り鳥サシバの観察を楽しんだ。 伊藤獣医師は「野生生物と人との関係」をテーマに、野鳥をはじめとする野生生物との接し方について講話。国内外の各地から奄美に飛来する渡り鳥の1年間の生活サイクルなどを解説し、「野生生物にとって人間が近付くことは大きなストレス。野鳥の観察時は無駄に飛ばして体力を使わせないよう適切な距離を保って」とアドバイスした。
サシバの飛来に合わせて全国を移動し、撮影、研究を行っている与名さんは、繁殖地である東北地方と越冬地の奄美大島で、サシバがどのように過ごしているのかを写真や映像を交え紹介。「生き物たちは互いに関係し合ってバランスを保っている。サシバを大切にすることは他の生き物や自然環境を大事にすることにつながる」と語った。 座学の後、参加者は宇検漁港へ移動。サシバの「ピックイー」という鳴き声に耳を澄ませ、旋回して縄張り争いする様子や気流に乗って数羽が飛び交う様子などを観察した。田検小学校の児童は「朝によく聞く鳴き声が縄張り争いの声と知ってびっくりした。虫やトカゲを食べに校庭に来ると聞いたので、今度探してみたい」と話した。 宇検村では来年10月に「国際サシバサミット」を開催予定。村担当者は「サシバは自然環境の指標種と呼ばれている。今後も観察会などを通してサシバへの関心を促進し、サミットへの機運を高めたい」と話した。
奄美の南海日日新聞