イチローを残したマ軍の決断は戦力外問題を「先送り」しただけだったのか?
少し前のこと。 シアトル・マリナーズのクローザー、エドウィン・ディアスがマウンド上にいるとき、ベンチから、こんな声が飛んだそうだ。 「Stay right there!(そこへ、そのまま行け!)」 制球に苦しんでいるときだったのだろうか。 いったい誰が? ダグアウトの最前列にいたマリナーズのスコット・サービス監督が振り返ると、声の主を知って驚いた。 「イチローだったんだ」 意外と映ったのかもしれない。しかし、イチローにつられるようにして他の選手が続くと、チームに一体感が生まれた。 「自分から『ああしろ、こうしろ』と声をかけるタイプではないが、聞かれれば、自分の経験を若い選手らに伝えている」 サービス監督は44歳の姿勢に目を細めた。 その前後、連日のように「外野手5人問題」を米メディアから問われていた。 イチローがロースターから外れるとしたら、それは退団と同意。米メディアも躍起になって、言質を取ろうとする。ただ、監督には、そもそもその権限がない。冒頭のようなエピソードを披露したりしながら、かわしていたが、22日(日本時間23日)になって、再び説明を求められた。 この日、先発のエラスモ・ラミレスの復帰に伴って、控え外野手のギジェルモ・エレディアがマイナーに落ちた。米メディアが予想したイチローではなかった。 そこには、しかし、別の意味で驚きがあった。 というのも、ここではリリーフ投手の誰かが外れるだろうとみられていたからだ。ではなぜ、リリーフ投手ではなく、エレディアだったのか。裏にはこんな事情があった。試合前の会見でサービス監督が、こう説明したという。 「ここ数日、リリーフに頼る形になってしまったから」 19日のアストロズ戦で先発のマルコ・ゴンザレスが4回2/3でマウンドを降りた。翌20日も、フェリックス・ヘルナンデスも6回を投げ切れなかった。そして、昨日のレンジャーズ戦でも、ジェームス・パクストンが5失点して4回しか投げられなかった。必然、ブルペンに負担がかかっており、このタイミングでブルペンを減らすことはできなかった。 もう一つ、こんな要素もあった。