イチローを残したマ軍の決断は戦力外問題を「先送り」しただけだったのか?
「次の7日間、相手の先発がずっと右だから」 確かに23日以降ーー29日に関しては未定だが、少なくとも6試合は右投手の先発が続く。相手が右投手の場合、エレディアは、通常、スタメンから外れる。よって、出場機会があまりないーーというのが、落ちたのがイチローではなかった理由ともつながる。 ただ、もちろん、それだけではない。ジェリー・デュポットGMがMLB.COMのグレッグ・ジョーンズ記者の取材に対して、こう答えていた。 「みんな、この1ヶ月半、イチローがこのクラブハウスにもたらした影響を理解していない。若い選手にとって、いや、イチローを尊敬するベテラン選手にさえ、よき指導者だった。ロースターはバランスが大事。フィールドで見えることだけで、判断することではない」 エレディアが3割を打っているのに対し、イチローの打率は2割台前半(22日の試合前)に低迷。守備もエレディアの方が上。イチローには衰えが見られるーーといった、あくまでもパフォーマンスをベースに判断を迫るメディアの風潮に数字では計れないものがあると反論した形で、そもそも、この4月の時点で、成績を比較する理不尽さが、どこから来るのかと思うが、もちろんこれで、決着がついたわけでもない。 デュポットGMが、「エレディアをずっと下に置いておくわけではない」と話したように、遅かれ早かれ、エレディアは再昇格してくる。そのとき再び、「外野手5人問題」が再燃する。 マリナーズとしては、その前にリオン・ヒーリー一塁手の復帰に伴い、ブルペンを7人に減らすのか、一塁を守っているダニエル・ボーゲルバックを落とすのか、という決断を迫られる。 ただ行き着くところ、最終的にブルペンを7人で回すのか、あるいは8人で回すのか、ということ。どちらを選択するかだが、実際問題、そこまで、きっちりと決める必要などあるのだろうか。 エレディアにはオプション(ウェーバーにかけることなくマイナーに降格させられる)がある。一度落とすと10日間は戻れないが、ロースター調整の上では融通がきく。 またリリーフ投手に関しても、オプションのある投手が多いので、人数を固定せず、エレディア、ボーゲルバックを含めて、その都度、臨機応変に必要な選手を上げ下げすればいい。 そして、その辺のやりくりは、デュポットGMの得意とするところでもある。昨年は先発に故障が相次いだこともあったが、マリナーズは、長いメジャーの歴史の中でも最多タイとなる40人の投手を使った。頻繁にロースターを変える中で、調子のいい投手をどんどんつぎ込みながら、乗り切った。