20万人を超える大学生が自転車で深夜に大移動! 中国「チャリオフ」大ブームの怪
――高口さん的にこの学生ノリはどう感じましたか? 高口 中国の肉まんって、どの地方で食べても味に大差ないんですよ(笑)。なので、参加者の多くは肉まんよりも仲間と騒いでサイクリングを楽しんだという部分が大きいと思います。 一部の報道では「経済的に不満のある中国の若者による大規模サイクリング集会!」とかもあったりしますが、そんなんじゃないですよね。そもそも、どんな集会も一発でアウトになる「打倒! 共産党」というのもありませんでしたから。 ただ、私としては中国的な学生ノリもありつつ、日本の2ちゃんねる文化のような懐かしさも感じました。例えば、〝田代砲〟と称して、米タイム誌のパーソン・オブ・ザ・イヤーに田代まさしさんをネット投票で1位にしようと集団で楽しんでいた、悪ノリな状況と似ているのではと思いました。 ――SNSから派生する学生ノリな現象は、今後も中国で増えると思いますか? 高口 増えるでしょうね。道路を封鎖した上に大量のシェアサイクルを放置した彼らがめちゃくちゃ怒られたというわけでもない。それどころか、「これで学校を休ませるわけにはいかん!」と、大学生たちに鄭州市行きの高速鉄道を無料開放したほどです。 ただ、これらの大規模サイクリングを中国政府が事前に規制できませんでした。中国は監視社会で街中にカメラがありますが、それとSNS投稿から事前に通行規制を行なえたはずです。 しかし、事前規制ができなかったということは〝中国の監視社会が機能していない説〟が浮き彫りになった印象があります。これだと大規模な政治的なデモも行なえる可能性もあり、中国政府的に今後の大きな懸念点となるでしょう。 ――政治的な意味はなくても中国の学生ノリは大規模すぎて、近隣住民にとっては大迷惑。これだけは、日本には波及しないことを願います! 取材・文/直井裕太 写真/VCG/アフロ