部署異動で「営業部」に配属されましたが、給与が「みなし残業制」になるそうです。何もなければ、残業せず早く帰っても問題ないのでしょうか?
多くの企業の営業部などで導入されている「みなし労働時間制(固定残業制度)」。労働時間の長さが必ずしも成果に直結しない営業や開発などの部署で採用されることが多いですが、労働者にとっては「固定残業の分は必ず残業しなければいけないの?」といった不安を抱きやすい制度でもあります。 本記事では、みなし残業制度の概要や、固定で残業代を受け取る分は残業しないといけないのか、残業しなくてもみなし残業代を受け取れるのかについて解説します。 ▼有給休暇の取得に会社の許可は絶対に必要?「繁忙期」でも取得できるの?
みなし残業(固定残業代)とは
みなし残業とは、実際に時間外労働をしている時間に関係なく、一定時間分が給与に含まれる残業のことです。 基本給に一定時間の残業代を含めて固定給として支給する、あるいは一定時間分の時間外・深夜・休日労働に対する割増賃金を定額の手当として支給することから「固定残業制」とも呼ばれています。この制度では、みなし残業として設定されている残業時間よりも月の実際の残業時間が少なかったとしても、みなし残業代が減額されることはありません。 一方、みなし残業として設定されている時間よりも多くの残業をした場合は、追加の残業代の支給を受けられます。勘違いしがちですが、みなし残業代は「どんなに働いても固定の残業代しか受け取れない」という仕組みではありません。 みなし残業代を採用することで、企業としては残業時間の算出や給与計算が規定時間分までは不要になり、経理の手間が減少するというメリットを得られます。一方の労働者側としては、残業時間が短くても固定で残業代が受け取れて仕事を効率的に進めるようになることや、収入額が安定して生活設計がしやすくなるといったメリットがあります。
みなし残業(固定残業代)でも仕事が終われば定時帰宅して問題なし
みなし残業時間制では固定の残業代を賃金に当てはめて設定することになりますが、これは「労働者にみなし残業分の残業を強制する」という性質のものではありません。みなし残業を採用した企業とはいえ、正当な理由なく残業を強制することはできません。 例えば、毎月30時間の固定残業代として5万円がみなし残業代として支給されるケースでは、月20日働くとして毎日1.5時間くらいの残業ができる計算ですが、決められた仕事が終われば、定時帰宅しても何ら問題にはなりません。