「個を描き、磨き、輝かせる」中外製薬の人財マネジメント方針とは
人事は、変革を進めていく上で「ど真ん中」の存在
――人財マネジメント方針を軸とした施策によって、社内にはどのような効果や変化が見られますか。 髙田:まだまだ途中段階ではあるものの、従業員は徐々に自律的になってきていると感じます。 中外製薬が3年前に導入した新人事制度の中に、自ら手を挙げて重要ポジションに挑む「チャレンジアサイン制度」があります。従来は一定の職務等級の従業員しかアサインされなかったポジションでも、一定期間のチャレンジ期間を設けることで、規定の等級に満たない人がチャレンジできるようにしたのです。若い年齢でも実力があればマネジャーになることができ、シニアにも役職定年がありません。 この3年間で多くの人が手を挙げ、キャリアを切り開いています。最年少マネジャーが誕生するなど、3年間でマネジメントポジション全体は大きく若返りました。現在では30代のマネジャーも増えています。 矢野:従来の感覚では「マネジメントに挑むのはまだ早いのでは」と思われていた年齢の従業員も、チャレンジアサインを通じてそのまま上がっていく人が多いですね。また、マネジャーの年齢上限の足きりも設けていないので、シニア社員になってから初めてマネジャーに昇格した人もいます。意欲と能力があれば、何歳であっても挑戦できるのです。 そのベースにあるタレントマネジメントにより一層注力し、ポジションごとに誰が本当に適任なのかをしっかりと議論しています。 ――人財マネジメント方針を推進し、真に自律的な風土を定着させていくために、人事には何が求められるのでしょうか。 髙田:人事はこれまで、研修プログラムなどの施策を通じて陰ながら従業員の成長を支援してきました。しかしこれからの役割は違います。全社戦略を実現するための人財戦略を描き、人事が矢面に立って会社を変えていかなければなりません。そのためには私たち自身も個を描き、磨き、輝かせていけるよう、自らのキャリアと本気で向き合っていく必要があります。 矢野:人事は、こうした変革を進めていく上で「ど真ん中」の存在であり、最重要ポジションであるとも言えます。そして私たちは人事を「ビジネス部門に対して中外製薬の価値を最大化するためのソリューションを提供する存在」と定義しています。経営戦略と人財戦略をつなげ、変革を実現させるべく、これからも人事が矢面に立ち続けたいと考えています。