「個を描き、磨き、輝かせる」中外製薬の人財マネジメント方針とは
「描く、磨く、輝く」の3要素、六つの人財マネジメント方針
――TOP I 2030の実現に向けて、新たな人財マネジメント方針を策定したと伺いました。 髙田:大前提となるのは、個を強化していくために必要な「描く、磨く、輝く」の三つの要素です。 「描く」とは、個々がキャリアを描けるようにするということ。個人が自らの人生におけるパーパスを見出し、その先に会社のパーパスを一致させていきます。言葉にするのは簡単ですが、これは最も難しいポイントです。従来もキャリアシートなどを活用して個々のキャリア設計に取り組んできましたが、それを語り合ったり、あるいは称え合ったりすることはなかなかできていませんでした。 そこで現在は、対話を促進するための施策として「Check in」と名づけた1on1に取り組んでいます。上司や周囲の人は、本人が本当にやりたいことを引き出せるように質の高い質問を投げかけていかなければいけません。一朝一夕でできることではなく、コーチングのスキル向上や、職場の心理的安全性向上などを粘り強く進めているところです。 そうして個々のやりたいことが見えてくると、会社や部門が目指していることと照らし合わせ、現状では足りていない部分を明確にすることができます。これが自律的な学びの入り口となる「個を磨く」のフェーズです。 人事部門としてはIラーニングシステムなどを導入するとともに、社内サイトでは目指すキャリアゴールから逆算して必要な学びを探せるコンテンツを掲載しています。さらにグルーバル規模では、ロシュグループの企業と連携して海外へ人財を派遣する取り組みもあります。これまでの累積では、約250名の従業員が海外でキャリアを積み、戻ってきています。 こうした自律的なキャリア開発とともに、中外製薬では「個が輝ける」ようにするための体制作りや環境整備を進めています。働き方改革からさらに一段階進んだ「働きがい改革」として、ダイバーシティ&インクルージョンや健康経営などに取り組んでいます。