社会性のある子どもに育てたいなら…集団生活よりも重要視するべき「意外な時間」
集団生活で本当に社会性は身に付くのか? その答えは…
ネットやSNSが発達している現代社会は、子育てするにあたって様々な情報を簡単に得られるという点ではとてもありがたい時代になったと思います。 「静かにしないと、店員さんに怒られるよ!」“おりこうさん脳”を育てたいなら、親がやってはいけない叱り方 しかし、調べているうちに、子育てにおいて、何が正解なのかが分からなくなってしまっていませんか? 自分の子どものためだと思って、色々と実践してみたけれど、いまいち結果に結びつかない…。 もしかして、良かれと思ってやっていたことが、子どもの脳を育てるためには逆効果だったなんて事があるかもしれません。 そんな“子育てにおける誤解”を小児脳科学者である成田奈緒子先生が詳しく解説した著書『誤解だらけの子育て』をご紹介します。 今回は「社会性を身につけるために集団生活は重要」というトピックをご紹介。 子どもの将来を考えると、幼いうちから集団生活を経験させておくことが重要だと思っていませんか? でもその考えは誤解かもしれません。それよりも、家でのある行いが社会生活の実践に繋がるのだそう。さて、その行いとはなんなのでしょうか?
【誤解!?】社会性を身につけるために集団生活は重要
共働きの家庭では、放課後は学童保育に子どもを預けるケースが多いですが、子どもにとっては非常に窮屈な社会と言わざるを得ません。 共働き家庭の増加に伴い、保育園だけでなく、就学後の学童保育所の待機児童問題も指摘されるようになりました。そこで近年、施設数が急ピッチで増え、1か所の学童保育所で、なるべく多くの子どもたちを預かれるよう、施設の大規模化も進んでいます。 厚生労働省では、学童保育所の適正な規模を「40人まで」としているものの、これを大きく上回り、71人以上もの子どもたちを擁する施設が年々増加しているのです。 将来、社会に出ていくにあたり、集団生活を多く経験しておくことはいいことだ、と考える風潮は根強いです。 しかし、大人数の異年齢の子どもが自分の意志とは関係なく、ひとところに集められ、「今から宿題をする時間です」「はい、おやつの時間です」などと指示されながら過ごすことで、果たして社会性が身につくのでしょうか。 それよりも昨今の学童では、人数が多すぎることによって子どもたちが落ち着いて過ごせない、支援員さんが名前を覚えられない、といった問題が顕在化しています。 また従来、学童は10歳を過ぎると退所しなければならず、それが働くお母さんたちの間で「小4の壁」と呼ばれ、取り沙汰されていました。そこで2015年に始まった「子ども・子育て支援新制度」では、学童保育を利用できる年齢が小学校6年生までに引き上げられたのですが、これについて私は甚だ疑問に感じています。 小学校低学年のうちならともかく、3、4年生にもなれば、放課後、親が帰ってくるまで、家で待っていることは可能なはずだからです。 5歳までは「原始人」なので、時間を見ながら行動することは難しいものですが、だんだん「おりこうさんの脳」が育ってくれば、学校から帰宅して、寝るまでの時間配分を自分で考え、親から任された家事をこなし、暮らしを回すことができるようになります。それこそが、社会生活の実践につながります。