全国各地で目撃情報多数、出没警報も発令中! 死んだふりは NG!! クマに遭遇しても生き延びる本当の方法
「クマに遭遇したら死んだふり」というアドバイスをどこかで聞いたことがある人は多いと思いますが、果たして本当にその対応は正しいのでしょうか? クマ研究者の小池伸介先生にクマに遭遇したときの正しい行動を聞きました。すべて押さえたらクマに遭遇しても生き延びる確率が上がります! 【イラスト】クマやイノシシが住む森と、人が住む住宅地に挟まれた「バッファゾーン」 * * * ■パニックにならない・させないことが大事 クマ被害のニュースが相次いで報道された昨年に続き、今年も全国各地でクマの目撃情報が多数報告され、被害も続出しています。長引くクマ被害を受けていくつかの自治体が出没警報を延長するなど、クマへの警戒はしばらく怠れそうにありません。 では、実際にクマに遭遇してしまったとき、どうすれば助かることができるのでしょうか? 東京農工大学教授で、多くのツキノワグマ関連本を執筆されている小池伸介先生に話を聞きました! 小池先生、ズバリ、クマに遭遇したときはどうすれば助かりますか? 「これを言うのは少しずるいのですが、そもそもクマには遭遇しないようにすることが一番です。なぜなら、クマに対してはこれをすれば絶対に助かるということが難しいからです。 クマにも人間のように個性があって、おとなしい個体もいれば気性が荒い個体もいて、ひとくくりにして対策をすることはできません。なので、山に入る前に遭遇しないよう十分気をつけることが重要です。 例えばクマ鈴を着けてクマに対して『人間がいるぞ』と知らせて、クマに距離を取らせると効果的な対策になります。クマは人間よりはるかに耳がいいので、鈴で音を鳴らしていると簡単にこちらの存在に気づいてくれます。 ただ、山に入るとどうしてもクマに遭遇してしまうことはありますし、最近は住宅地に出没する例もあります。そんなときに取れる行動にはいろいろありますが、最も重要なのは自分がパニックにならない、そしてクマをパニックにさせないことです。 クマと遭遇したときにまず判断しなければならないのは、『クマはこちらの存在に気づいているのか?』『クマとの距離はどの程度あるか?』などです。 パニックになってしまうとそのような状況分析ができず、大きな声で叫ぶなどの不適切な行動をしてしまい、クマを興奮させる可能性があります。そのため非常に難しいことですが、まずは冷静になって状況分析をすることが求められます。 また、クマをパニックにさせないのが大事というのは、そもそもクマは人間を食べよう、積極的に襲おうとして攻撃してくるわけではないということです。 クマが人間を攻撃するときは人間が不用心に近づいてクマを怖がらせてしまったときや、子グマを守る母グマを刺激してしまったときで、すべて防御本能からくる行動なんです。なので、クマをパニックにさせなければそもそも人間を攻撃してこないので、刺激しないことが対策になります」 パニックにならない・させない原則を守った後は、遭遇したクマからどのように逃げたらいいですか? 「逃げる際に一番してはいけないのは、クマに背中を向けて走って逃げることです。背中を見せると遭遇したクマの状況がわからなくなりますし、クマは動くものに反応する性質があるので走るのも悪手です。 逃げる際には、後ろに気をつけつつクマを視界に入れながらゆっくり後退することが推奨されています。その際、クマと自分の間に障害物を置くように逃げるとなお良しですね」 パニックになったら走って逃げてしまいそうなので、とにかく冷静になりましょう!