「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
史上最大級のハリケーン「ミルトン」がフロリダ半島に接近。2005年にニューオリンズを破壊した「カトリーナ」並みの被害を出す恐れも
フロリダ州タンパの住民は、メキシコ湾で発生した100年に1度の大型ハリケーン「ミルトン」の襲来に備えて多くが避難している。当局は「避難しなければ死ぬと思え」と最大級の警告を発している。 【動画】「なぜ逃げなかったのか?」と後で言われたくない...避難の大渋滞、「ミルトン」の勢力予想 米国立ハリケーンセンター(NHC)の10月8日(現地時間)朝の情報によると、ミルトンは人口約40万人のタンパの南西約950キロに位置し、東北東に進んでいる。9日の夜に上陸すると予想されており、高潮のピークではタンパの浸水深は4.5メートルに達すると予想されている。 「フロリダ州西海岸の警戒区域では、9日には風雨がはげしくなり、早ければ9日の午後にはハリケーンが上陸すると予想される」と、NHCは発表した。タンパが位置するヒルズボロ郡は、最も危険度が高い区域ゾーンAとその次に危険度が高いゾーンBに住む人々に強制避難命令を出している。 「これは命の危険にかかわる可能性が高い状況であり、住民は地元当局の勧告に従い、避難指示が出た場合は直ちに避難すること」とNHCは警告した。 当局や気象専門家は、避難区域から時間内に脱出できなかった人の中に死傷者が出ると警告している。「これは文字通り壊滅的な被害が予想される事態だ。大げさな表現なしに言えば、避難区域にとどまることを選択すれば、死ぬことになる」と、タンパのジェーン・キャスター市長は警告した。
警戒が必要な高潮の危険
気象学者のブライアン・ベネットは、今回のハリケーンの危険度を、2005年8月にメキシコ湾岸一帯を襲い、1300人以上の死者を出したハリケーン・カトリーナになぞらえた。 「これはカトリーナの再来になるかもしれない」と、彼はXに投稿した。「気象学的見地から、大型ハリケーンの上陸は、タンパ湾岸地域にとって最悪のシナリオだ」 当初、台風の強さを示す5段階で最強カテゴリー5と評価されていたミルトンは、8日に一旦カテゴリー4に格下げされたが、その後勢力を盛り返して5に戻っている。たとえ勢力が多少落ちても、高潮(嵐の際の海水面の上昇)は、依然として高いままである可能性が強い。 「上陸が近づくにつれて勢力が若干弱まる可能性はあるが、それでも懸念すべきなのは水の勢いだ」と、ベネットは言う。「フロリダの海岸付近で嵐の勢いがわずかに弱まるという予報に惑わされ、高潮の危険を甘くみることがあってはならない」 「風はハリケーンの目を中心に反時計回りに回転する。ハリケーンがフロリダ半島西岸に上陸すれば、クリアウィーターとセント・ピーターズバーグが大洪水に見舞われるだけでなく、タンパ南部やダウンタウンなどが水没するかもしれない」と、ベネットは続けた。「タンパ湾に流れ込んだ水は、ヒルズボロ川を遡り、メキシコ湾岸だけでなく内陸部にも洪水を引き起こす可能性がある」 気象学者のノア・バーゲンは、ミルトンは「天文学的な規模」のハリケーンで、「地球の大気と大洋の海水が作り出すことができる数学的限界に近づいている」と警告した。 「気象学的にこの強さをどうやって説明したらいいか、言葉が見つからない」と、彼は書いた。「中心気圧897mb、最大風速80メートル、瞬間風速はメートル超。これは、過去に大西洋側で記録されたハリケーンの中で4番目の強さだ」 「信じられない、信じられない、信じられない」と、気象予報士のジョン・モラレスは声を震わせながら地元テレビ局で言った。「中心気圧が10時間で50 mbも下がった(勢力が急速に増した)。申し訳ないが、恐ろしいとしか言いようがない」 ソーシャルメディアユーザーからの報告によると、タンパとその周辺地域の多くの人々は警告を真摯に受け止め、避難指示に従っている。「ハリケーン・ミルトンの影響で、州間高速道路4号線と75号線が大渋滞している」と、XユーザーのSassaFrassa84は動画付きで投稿した。